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April 13, 2005

佐原真の「戦争の考古学」を読む

▼投稿される方は木曜日朝7時までにお願い致します。それ以降の投稿は自宅に戻った日曜日の夕方になります。実家にはヤフーのB1ラインが引かれ、新しいモデムが届いているらしいのですが、わたしが実際接続してテストをしてみないと、本当に繋がるかどうか分かりません。局から6kmの距離はおそらくダメだと思いますが、明日14日夜まで結果をお待ち下さい。
●「甘美なる暴力/悲劇の思想」テリー・イーグルトン著 大月書店 4800円 果たして暴力は甘美なるものかどうか、ギリシア悲劇からナチスの強制収容所まで、宗教と様々な小説を素材に取りあげている。第8章トマス・ハーディ著の「日陰者ジュード」(映画のタイトルは「日陰のふたり」)の辺がおもしろかったが、全体として難解。
 以下印象に残った所 
 マルクス主義はキリスト教がともに救済しようとするものは悲劇的状況であるが、悲劇の成就はありえない。マルクス主義は階級社会の内部からの批判であって、階級社会にかわるものをユートピア的に提案するものではない。キリスト教にとって、復活は磔と地獄落ちを前提とする。もしそうでないとすれば、両者において救済されるのは、身動きのとれない、絶望的状況ではなくなってしまう。改善は改善の見込みのない所で必要されるのだ。状況がそれほどひどくなければ、改善の必要はない。(中略)
 最悪の状況と対峙しながらも、最良の状況の到来を期待するこれらキリスト教とマルクス主義は、罪、あるいは搾取を明かな歴史的状況とみなすことにおいて、自由主義的理想主義より見方がはるかに暗い。しかし同時に、人間には実際より大きな価値があり、今していることより大きなことができる能力がある、と自信をもっていることにおいて、両者は実用主義、あるいは、保守主義より見方がはるかに明るいといえる。
 20世紀前半以降のあらゆる左翼運動と同じく、西洋マルクス主義は左翼運動を枯らしつづけたスターリン主義の陰で生きる運命にあった。ロシアのそれに限らず、あらゆるスターリン主義は、20世紀のもっとも持続的な悲劇の一つ、つまり社会主義はもっとも必要とされたところで、実現の可能性がもっとも低かったという事実を反映している。物質的冨、自由主義の伝統、繁栄する市民社会、教育をうけ、技術をもつ大衆といった近代の貴重な成果を、本来、実現の前提としなければならない人間解放のビジョンは、そうした近代の利益に恵まれなかったたいへん貧しい国家が、その桎梏から逃れようとしたときのみちしるべとなった。(中略)社会主義の高邁な意図は、アリストテレスが「ペイペテイア」とよんだ致命的な逆転によって、まったく反対の意図に歪曲されていったのであるから、スターリン主義は古典的な種類の悲劇なのだ。
●「戦争の考古学」佐原真の仕事4 岩波書店 2800円
 人間の攻撃性の根源についてリチャード・リーキーの分析は以下の通り、
 酒量採集の移住の暮らしでは30人ほどからなり移住集団が、数個のキャンプで丸く並べてすみ、いつもたがいの姿が見える。成員にも訪問者にも、とって来たばかりの食物を平等に分配する。所有物はほとんどもたない。すぐ代わりを入手するから、もっている物は、何でも分け合う。分かち合いで心が通じ合う。いざこざも皆で解決する。しかし、他の移住集団へ移るという解決方法もある。食料資源はどこにでもあるから、その気になれば、どこへでも行ける。
 ところが農耕の定住の暮らしでは、家は散在し、心の通じ合いは少なくなる。穀物・家畜を分配すると生計はなりたたない。節約しなければならない。農耕を始めたとたんに耕している土地を守ることに人間は懸命になる。持ち物、貯える物がふえる。それを守らなければならない。ここにこそ人間の「攻撃性の種をまき散らす根源がある」と上記リーキーは考えた。
 本書では主として石製武器である矢じりの世界的な分布とその性能についてである。なかでもおもしろかったのは、日本の城とヨーロッパの城の根本的な違いだ。ヨーロッパでは鉄砲・大砲の出現が戦法や城の作り方を一変させた。ところが日本は鉄砲は発達したが、大砲は敵を混乱させる程度の役割しか果たさなかった、というのが来日した西欧の学者の分析だったが、それがなぜかについては本書では触れられていない。
 これは高地の想像だが、日本では戦国時代から名乗りを上げて戦う1対1の戦法が行われていたこと。そのため大砲で城を攻撃するような方法は嫌われていたのではないだろうか?

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