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June 12, 2005

「戦国自衛隊1549」を見る

▼◇「戦国自衛隊1549」今回は前作と異なり、「実物」がふんだんに登場する。90式戦車、AH1武装攻撃ヘリ、UH1,OH1,87式偵察警戒車、そして指揮通信車だ。過去に比べてなぜこれほどのホンモノを使うことができたかと言えば、当時の石破防衛長官肝いりだったからだ。軍事オタクの石破は議員会館に自分が作った自衛隊などの「武器プラモ」がズラリと並んでいる。今まで防衛庁が映画「協力」する場合、持ってきてものをそのまま使うことが条件だった。だから部隊のロゴマークもそのまま、ただ走らせるだけ。今回は部隊マークである「ロメオ」のシールを貼り替えることも許可している。それにそれら戦闘機や戦闘車両が「演技」をしているのが見物だ。
▼さて半村良原作の前作品は1979年に作られ千葉真一が織田信長を演じていたが、今回は鹿賀丈史になっている。自衛隊の某実験部隊では人工磁場発生装置を使ってトランスポートする実験をしていたのだが、担当者(鈴木京香)のミスで鹿賀らを500年前の時代にタイムスリップしてしまう。その2年後に別の部隊が後を追うことになる。それは地上のあちこちにできたブラックホールは彼らの仕業だとして、過去に遡って彼らを連れ戻さないと現在が変えられてしまうという論拠による。いまは退役して居酒屋を営む江口洋介を引っ張り込み過去へと旅する。そこで見たものは鹿賀らが新しい城を作って勢力の拡大を図っている姿だった。後から送りこまれた部隊は半数の死者を出し、全員が捕虜となってしまう。その城で見た物は、戦車などの燃料を精製する石油プラントや、富士山を爆発させて地球を作り替えるという巨大なシステムだった。後発部隊は「現地人を殺害してはならない」、「実弾を使ってはならない」という縛りがあったため、思うように動けない。鹿賀は斎藤道山(伊武雅刀)を味方に抱えて次の作戦を練っている。さらに斎藤は自分の娘を鹿賀に嫁入りさせて自らの影響力を高めようとする。
▼作戦に窮した後発部隊は必死の巻き返しを図るのだが、紛れ込んだ一人の少年が、実は蜂須賀小六のせがれであることを気づき、彼を利用して歴史の動きを元通りにさせればよいのだという事が分かってくる。ススキは草の葉で偽装した武士た登場するのは、黒沢映画「蜘蛛の巣城」以来だが現代風の偽装なので笑える。そして斎藤道山が、何度撃たれても斬られても死なないので不思議に思っていると、和服の下にケプラーの防弾チョッキを着ていて「天導衆(平成からやってきたという意味)のは便利なものよのー」という場面でも笑わせる。本論に戻るが石破の肝いりで協力した陸上自衛隊、同冨士学校、第一ヘリ団のクレジットが出てくるが、ホンモノを使えばホンモノに近づけるかどうかは、かなり疑問である。つまり騙されて最初の時代に送りこまれた鹿賀の恨みや悲しみは出ていない。戦闘中死んでいく後発部隊の指揮官たちの家族を思う無念さはセリフでは出てくるが、観客には何も伝わらない。戦車やヘリに原寸大の忠実さと再現を求めた監督は、あまりにもそれにこだわり過ぎたため、心を描くことを忘れてしまったように思う。極論を言えば自衛隊が何も協力しなかった「宣戦布告」の方が「悲しみ」は伝わって来た。

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