« 「女性の別れのシーン」について考える | Main | JRのレール幅について考える »

June 22, 2005

NHK「菅原文太長靴の旅」を見る

▼土曜日のNHK教育TVで午後9時から「菅原文太長靴の旅」というETV特集をしていたので録画して見た。菅原は言うまでもなく東映で「仁義なきシリーズ」でヤクザを演じて有名になった俳優だが25年前から岐阜の山奥の農村に移住して暮らしている。この日菅原がテーマにしたのは「農村を回復させようとしている人」を追っていた。
▼最初に登場したのは青森県むつ市の漁村だ。ここに国の助成金で護岸工事をしてから、海藻や海苔などが採れなくなってしまった。撤去しようにも、それは地方自治法でカネの目的外使用で、下手をすると返還を求められる。そこで工夫して巨大なコンクリート製の護岸を撤去させ、漁民たちが昔の記憶を元に昔の岩でできた磯を復活させるまでの格闘だった。おりからわかめを採取していた漁民は、海藻が採れるようになって、それが僅かでも現金収入になったと喜んでいた。ここでは一体何のための護岸工事だったのかと問いかけ、撤去作業に携わった元行政担当者も登場させていた。
▼2番目は山口県防府市の山で棚田を作っている60歳の男性で自分の牛を放牧して山が荒れるのを防いでいた。元警察官の主人公は32歳で退官して、飲食店を営むが失敗して親の代から続いている営農をすることを決意する。そこで困ったのは牛の飼育である。ふと思いついて朝エサを少しやってから放すことを試みた。すると荒れ放題になっていた山林や棚田の雑草を食べ始めたのだ。そうすることによって山の下枝も綺麗になり、田んぼの雑草を除草する手間も省け、なおかつ牛たちも太っていく。千葉県出身の奥さんは「最初虫が怖くて農村はイヤだった」というがパートをして現金収入で支え、帰りには豆腐屋さんから、牛のエサとしておからを大量に貰って車に積んで帰ってくる。まだ10頭に満たない牛だが、夫婦二人の山村にあって動物と人間は力を合わせて、農村の回復を試みる。
▼3番目は秋田県上下阿仁村で秋田杉で暮らしている小さな村の話。雪が折り重なるように切り倒した杉の材木の上を覆っている。かつて30軒もあった製材所では今は5軒くらいになっていた。その最大の原因は木材の価格が輸入によって低くなっていることだ。青年は仕事は機械化で肉体的にはきつくない。しかし苦労に見合った賃金が得られない、という。その村では昔からある、「結(ゆい)」という方法によってまとまったカネが必要になったときは、村有の山林の秋田杉を切って売り、資金を稼ぐ。ある人の意見では、この村があまりにも貧しいからそれぞれの力を「結」という形で出し合うしか、生き残る道がなかったから良かったのかも知れないという。最近では農作業の機械も個人個人で買うのを止め、集団で買ったみんなが利用しやすいようにした。現金収入を少しでも増やそうと、ある個人がやっていた地鶏の平飼いの実験も、集団でできるように広げようと研究が始まった。
▼コメンテーターとして菅原邸に来たのは経済学者の内橋克人で、グローバル化が叫ばれているがそれはカネがカネを生むという実態のないシステムである。本来経済はその地域を循環させなければならない。一例が牛の飼育で輸入したエサでなく、田んぼの草をたべてそこで糞を落とし、それが肥料となって次回の米作に生かされる。これが本来の循環システムである、と分析する。もう一人は江戸時代の農民を書く作家中村彰彦だった。彼は江戸時代後期に、都市に人が集中して農村があまりにも荒廃してしまったので、当時の幕府が「人戻し令」をつくって意識的に人を戻し、農村の荒廃を防いだ、という話を紹介していた。勝ち組・負け組などと言って大金を稼ぐ会社や人だけがマスメディアでもてはやされている現代において、人間が人間らしく生きていくために何が必要か、個人あるいは小さな集落で試みられている方法を紹介していたが、とても見応えがあった。今度中村彰彦の本も読んで見なければと思った。
▼メルマガをお送りして、ブログを書いていて、果たして何かみなさんを知的好奇心を刺激する事に役立っているのか不安になることがある。昨日いただいたメールでは雑誌『世界』7月号をさっそくお読み下さった方の感想が寄せられてとても嬉しかった。
▼メルマガ<編集後記>で出したクイズの再掲載です。さてキリ番7万番も、残念な事にヒットした方のお申し出はありませんでした。次回は11月頃のオール7になります。しかしそれでは長すぎるように思いますので新しい出題をします。8月27日は『鍵盤乱麻』Web版の創刊6周年に当たります。では05年8月27日午後8時には何ヒットになるかというのが出題です。誤差は前後10番まで許容します。例えば75000番と指定した方は74990番から75010番までOKです。当日午後8時に高地がアクセスしてカウンターを記録してアップロードしますので、それに近い方が当選となります。では今月末の6月30日まで申し込みを受け付けますので、ふるってご応募下さい。

|

« 「女性の別れのシーン」について考える | Main | JRのレール幅について考える »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference NHK「菅原文太長靴の旅」を見る:

« 「女性の別れのシーン」について考える | Main | JRのレール幅について考える »