「帝政民主国家ロシア/プーチンの時代」を読む
▼こう毎日暑い日が続くと、読書しようという気持ちが涌いてこない。電車の中でもぼけっとして、家に帰っても新聞、雑誌を見るだけだ。この間見たビデオは、どうでもいいような「バッド・ボーイ2」、「レジェンド・オブ・メキシコ」だ。
▼●「帝政民主国家ロシア/プーチンの時代」中村逸郎著 岩波書店 3000円
プーチンになって何か変わったのか?140年も前に建てられ、崩壊の危機に曝されているボロアパートに住む人々が出てくる。部屋の構造というのが、日本では考えられないもので大きな部屋の中に3つの部屋があり、ドア、キッチン、トイレ、バスは一つだけ。しかも二つの部屋はくっついており、他人の部屋を通過しなければ出入りできない。暖房するパイプも老朽化して、使用料を払えない一軒があると、パイプをカットされてしまう。だから直列になっは、自分の職務を特定できない。だから住民たちからこのような苦情が持ち込まれても、ほとんどが権限外の余計な仕事だと思われる。だから住民が持ち込む問題を解決するのは、役人本来の仕事ではなく、私情で便宜を図っているという意識が強い。そこから役人の汚職や賄賂がはびこり、行政責任を忘れ、公私混同の振る舞いが顕著で、国家的な義務や民衆への奉仕といった気持ちは希薄になる。そこでプーチンへの直訴という方式が採られているが、ある人が相談に行ったら厳重な身体検査の後出てきた面接官は「あなたを手助けできるのは、機関銃だけです」という答えが帰ってきたので絶望的な気持ちになる。訴えに行った女性は「わたしたちにテロリストになるよう促している」と感じたという。プーチンになったけれども日常生活から派生する問題を解決する法的なメカニズムが確立していないところに、自治体の行政機能の低さが加わっていることが問題になる。本書によれば地方から中央が吸い上げる税金の率も日本より格段に高い。そして再配分するとき、プーチンの競争原理を導入していて、毎年毎年その自治体が査定対象になり、悪ければ翌年は支給ゼロになってしまう。さらに地方からの税金がきちんと100%納入される保障もない。気のあった友人だけで固められたプーチン体制は、振興大手石油資本ルコイールなどと癒着して、儲かる投資だけに邁進していく。
▼ゆうべ「週刊アスキー」7月5日号を読んでいたら、とても面白いナンセンスマンガを見つけてしまった。データベース「HAIJI]をご覧下さい。
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