日本中にある「跡取り」問題
▼思えばこの10年以上帰省するたびに、両親の口から出てくる言葉は、「お前この家はどうするつもりだ」の連続だった。母は農村で3人姉妹の長女と生まれたので、家事よりも農作業の労働力としての力が重要視されて生きてきた。だから家こそが自分のアイデンティティの拠り所なのだろう。わたしは時々書いているように、「本家の長男」なので、いろいろ期待される度合いが多い。しかしそんな問題は日本中どこにもある話だ。では「この家はどうするのか?」と聞かれるが、「一年に一度は墓参りにくるからそれでいいのだろう」というと、「自分たちが死んだあともちゃんとしてくれなければ困る」と言うから、「死んだあとの意識などないのだから、そんな事気にするな」という論議が延々と続いてしまう。
▼昨日も、この件に関して何人かの方からメールやお話で「自分の母と同じ状態だ」というご意見をいただいて励まして下さった。昨日午後「手紙がついた」と母から電話があったので「激しく怒って」みせて、「人を騙して利用するなど、人間として一番いけないことをしているのがわからないのか?普段何もしていない叔父がなぜ急に乗り込んでくるのだ。ボケはお袋さんの方が進んでいるようだから、早く病院に入らなければならないのは親父ではなくてあなたの方だぞ」と言って電話を切った。一つひとつ事例をあげて、ウソや隠していることを実証しても、「言ってない」、「分からない」をくり返すばかりなので、今度月末に帰省したら母もMRI検査に連れていかなければと思っている。日本の跡取り問題の歴史的背景に関しては柳田国男が詳しいので、著書をお読みになることをお薦めする。
▼昨日夜はHP研究会。自分たちのHPのリニューアルと憲法改正問題の行方が論議の中心になった。ジャーナリスト出身で現大学教授のM氏は、憲法問題と関連して「A級戦犯と東京裁判」など国民的規模での歴史の正確な把握、学習が必要だ」として授業で「軍人勅諭」や「戦陣訓」がどんなに酷い内容だったか、実物を読み聞かせしたところ、「生きて捕虜の辱めを受けず」などがあるので、生徒は一様に「そんなに酷い内容だとは知らなかった」と発言が相次いだということだった。さらに改憲勢力でも足並みが揃わないし、半日デモで分かるように海外の猛反発が起きた場合、輸出や現地進出企業のダメージが大きい事が分かったので、一気に改憲はできないのではないか、という発言があった。しかしこれには条件付きで、「もしクーデーター的な事が起きたらその限りではない」という。例えばの話、どこかの特殊部隊などを使って、「北朝鮮の特殊部隊による日本の原発を攻撃させる」、「テポドンを一発でも日本に打ち込ませる」などでっちあげを行う。今朝の朝刊でも「朝鮮半島有事、対日攻撃の対処検討として」「生化学兵器対策としてワクチンの備蓄マニュアル」が存在する記事が出ていたが危険な徴候であろう。
▼さらにわたしが不思議に思うのは「ガードレールの不思議な突起物」だ。この1週間ほどマスメディアは目を皿のようにして「突起物探し」の「不安」キャンペーン煽っている。今朝現在、突起物の数は全国で3万6千ヶ所であると報道されている。一体突起物で死んだ人などいるのか?ノーだ。今回の発端となった事件では怪我をした人がたった一人だ。一方交通事故による死者は毎年約1万人だが、車メーカーを殺人罪で訴えたり、車の生産中止を求めるキャンペーンはマスメディアに登場しない。やるべきならこっちが先なのだが、トヨタの広告がなければ、朝日新聞だって倒産してしまうくらいの影響力を持っているから、そういうのは絶対記事にはならないのだ。新聞報道を検索すると03年度の傾向が出ていた。「交通事故の死亡者と負傷者を合わせた「被害者数」は約137万人。死亡者が減少傾向にある一方、後遺障害者が増えている。」ただこの死亡者の減少傾向というのが統計のトリックである。つまり即死だけで、一旦病院に搬送されてから死んだ人は統計に入れられない。今は救急医療が発達しているから、統計上の「即死」が減ってしまっているのだ。
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