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July 11, 2005

◇「ヴェラ・ドレイク」を見る

▼◇「ヴェラ・ドレイク」イギリスは1861年にできて人身保護法によって人工中絶はその後90年たった頃も違法であった。1951年のイギリス。主人公ヴェラ・ドレイクは60歳くらいだろうか。家政婦をして頼まれた家を週に一度ほど訪問しては、家事をしたり清掃をしたりして僅かな収入を得ている。夫は弟とともに自動車修理工場の経営をしており、二人の子どもがいる。困っている人がいたら、自宅の食事に招くなど、その献身的な仕事ぶりは近所の評判になっている。ところが昔の知り合いから斡旋され、困っている娘さんたちの中絶を密かに行っていた。中絶といっても、ゴム管を使って石けん水を子宮に送るという簡単なものだ。仲介者はかなりの手数料を得ていたが、彼女はそのことは知らなかった。
▼娘さんが恋人に暴行されたり、朝鮮戦争中出征兵士の妻と義父との関係があったり、お金がなかったり、もうこれ以上子どもはいらないなどの理由で、医者にいけない人たちが、彼女のところにやってきた。内気な娘の婚約が決まって、弟夫妻など親戚があつまって、ささやかな食事会をしようとしているとき、警察が踏み込んでくる。家族はまったくドレイクがやっていた事を知らなかったので、「間違いだ、一体何が起きたのか」と動揺する。それは最近おこなった娘さんが体調を崩し、病院に担ぎ込まれたため、警察が内定をすすめていたのだった。警察に逮捕されて拘束されていくドレイク、呆然と見送る家族たち。夫は妻の後を追い、取り調べが終わったあと警察立会の元、ドレイクの口から直接自分がやったことを告白される。
▼ドレイクはあくまでも、「困っていた娘さんたちを助けただけ」と主張するが、法律の建前からするとその行為は許されるものではなかった。一度は動揺する長男や家族だったが、何も知らず、「助けるために、無償でやっていた」という事がわかり、やがてそれを認めようとする。だが一人許さないのは、妊娠した事が分かった弟の妻だった。地方警察の公判からロンドンの大法廷まで2年8ヵ月の判決を受ける。暗澹たる気持ちで収監され、刑務所に入ると、同じ行為で捕まった人たちは、「半分で出られるから」と励ましてくれる。残された家族は静かに食事をする。イギリスの鬼才監督マイク・リーの最新作だ。主演のイメルダ・スタウントンの、どうだこれでもか、というもの凄い演技はただ驚かされる。ヴェネチア映画祭では、金獅子賞と主演女優を得ている。だから「ミリオン・ダラーベイビー」のヒラリー・スワンクをして、「スタウントンがいるのにあたしが、アカデミー主演女優賞をもらってしまっていいのかしら」と言わせたほど。ただしお話はかなり暗い。

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