ドイツ映画「青い棘」を見る
▼◇「青い棘」ナチスが台頭し始めた1920年後半のドイツ。学生たちの間には退廃的な空気が漂いはじめている。金持ちの息子であるギュンター・シェラーと貧しい労働者階級出身のバウル・クランツはベルリンにある寄宿舎に住んで学校に通っている。彼らはまもなく卒業試験を控えているが、クランツは詩を作るのが好きで、活動的なギュンターとは対照的な性格にある二人だ。彼らは、「歓喜に満ちた大いなる愛の頂点が一瞬のうちに終わる瞬間」を求めていた。そして二人はその瞬間に自分たちも死ぬという誓約書を交わしていた。同時にそれを二人から奪ったものを道連れにするという自殺同盟とも言える規約を作ったのだ。ギュンターはその瞬間にはこれを使う、と言って一丁の拳銃を見せる。それが何とイギリス製のリボルバー、ウェブリー&スコットなのだがこの意味が分からない。
▼同性愛の傾向にある二人なのだが、バウルはギュンターの妹ヒルデにも恋してもいる。妹は可愛いのでどこでもモテモテだが、その妹の友人はエリはちっとも持てない。この違いは一体何にあるのかと悩み、ヒルデに対して論議をふっかけて気まずい関係になる。やがて親が留守中のギュンターの別荘で、パーティが始まる。地下のワインセラーから、高価なワインが次々振る舞われる。みんなは列車でやってくるが、後から車で遅れてやってきた男は、幻のワイン「緑の妖精」を持参しそれを飲んだ学生たちはやがて恍惚状態となる。地味な性格なエリは実はバウルの事を好きなのだが、うぶなヒルデに夢中なあまりそれに気づかない。そして深夜にエリの誘いにのって山小屋でひと晩を過ごすバウル。明け方別荘に戻ると、ヒルデとその学友が親密な関係になった瞬間をギュンターはこれぞ「意味ある死」だと直感する。つまり妹と一緒にいた学友とはギュンターの同性愛の相手で、ヒルダはバウルの恋する相手だたからだ。寝室に隠れていた学友を捜し出し、ギュンターは4発の銃弾を発射する。そして残った一発は自分の頭に。ギュンターとバウルの耐えられない心の痛みは、死によって報われたのだ。
▼かなり難解な話であるが、実際にあった事件でバウルは禁固3週間の判決を受けている。そしてこの原作者のバウルの著書は1933年ナチスの焚書の対象とされた。
▼映画が終わって渋谷東急の脇で緊急の長距離電話をしていると、長身の青年がわたしを見てニコニコしている。ああ、いつも行っているパン屋さんの職人Tさんだった。電話が終わってから「きょうもう仕事は終わりですか?」と聞くと、「定休日です」とおっしゃた。そして奥さんと仲良く買い物の途中だったようだ。どちらまでと聞くと、「あそこのパン屋さんでパンを買う」というので一緒について行った。休日まで他店のパンを買うとは研究熱心な方である。原材料から全部フランスから取り寄せているのだというこの店の名前は「VIRON」(渋谷東急のはす向かいTel03-5458-1770)で3種類のパンを買ったがクロワッサンは絶品だった。
▼明日検査で行く診療所の担当医には「X線検査だけは拒否します」とファクスを送った。もし何か言われたらもう二度と行かない。
▼これから日帰りで「あさま」に乗る。なぜこんな事をしなければならないか?逆「リア王」のような話が現実にあるからなのです。
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