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November 13, 2005

◇「親切なクムジャさん」を見る

▼◇「親切なクムジャさん」幼児誘拐殺人犯のクムジャは13年の懲役を終えて出所する。刑務所の外には救世軍のような一団が賛美歌を歌って出迎える。しかし豆腐を載せた皿をひっくり返して(この韓国の風習の意味は不明)「宗旨替え」したのよ、と敢然と立ち去るクムジャであった。刑務所に入ると、いかにも悪という表情をした牢名主たちが跋扈跳梁しているが、彼女は先輩たちの嫌がらせを物ともせず、セッセと奉仕を続ける。彼女には、もっと大切な「復讐を果たす」という目的が残されているからだ。復讐の一つは彼女を辱めた女囚であり、次は妻に食事中にでも執拗な性的暴行をくり返す、英語学校の教師だ。この教師には二つの顔がある。一つは妻に対する態度に見られる蔑視であり、元妻のクムジャさんを妊娠させて育児の義務を放棄して、オーストラリア人夫妻に里子に出したことだ。そしてもう一つは5人もの子どもたちを誘拐殺害した事だ。出所したクムジャ実の子に面会に行く。その次は夫に標的を当てる。彼女の手に握られているのはデリンジャーとオートマグを合体させた、ボルトアクション2連拳銃である。彼女は夫に復讐するだけの目的でこの銃を作らせた。その巨大さ故に彼女の憎しみが、増幅して見える。元夫を気絶させてどこか山の中の雪が降り積もる廃校のような所に監禁する。そして子どもを殺害された両親や残された家族に、殺害ビデオを見せる。そして「オリエント急行殺人事件」のような提案をする。この男を司直の手に委ねるか。それともこの場で自分たちの手で裁きを下すか?「裁判などやっても決着するまでに時間がかかるから、自分たちの手で殺めよう」と言う事で全員の挙手で決まる。そのあと「ロックストック」の一シリーズのように、全員と場で肉加工の処理をするように全身をビニールスーツで固める。部屋を出ると、むかしクムジャを追っていた元刑事が、包丁を使った殺害の方法を事細かに伝授しているのもおかしい。孫を殺された老婆は武器は何も持っていかないように見えたが、男のクビには孫が学校で使った学習バサミが刺さっていた。元刑事を先頭に男の死体を山に埋めようとする。クムジャはみんなに「ちょと下がってわたしがやりたいことがある」と、男の死体に最後の2発の弾丸を撃ち込む。そして親たちには「営利目的の児童誘拐」なのでお金は犯人に使われず残っていることが分かると、親たちは「振り込みで返して」と銀行口座を次々書いて、クムジャと分かれていく。つまりクムジャは死んだ子どもたちだけではなく、親たちにも「親切」にしてやったのだ。だが復讐をして気持ちが満たされたかと言えば、拠り所のないむなしさだけが残っているばかりだった。実はこの映画はパク・チャヌク監督の復讐三部作の最後の作品となった。韓国映画独特のどぎつい表現方法には目を背けたくなる。それでもなおかつ、女性や子どもたちの人格を認めない男に対する復讐は、心のなかで快哉を叫びたくなるくらいだ。そしてわたしにはこの復讐劇のむなしさが、アメリカの911に対する「復讐の根拠」という理不尽なむなしさのように見えたのだが…。

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