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February 17, 2006

コスタリカの地殻変動

▼移動しているとき、ふと昔撮った一枚の写真の事を思いだした。もう10年以上前になるが、千葉地裁の前で某電力会社の思想差別(もっている思想によって賃金、昇級差別を何十年も続けた)裁判の判決があった日だ。被告は当然電力会社で原告は社員である。わたしもカメラを持って取材に行っていて、撮影した親子3人が泣きながら抱き合っている一枚の写真がある新聞に使われた。
▼某駅で下車してバスの順番を待つ。わたしの前には一人の中年女性がいて、バスはどうやら発車したばかりだった。わたしの名前を呼ばれたのでびっくりして顔を見たら、上記の写真に登場した奥さまだった。以心伝心なのか、不思議なこともあるものだ。「雨の日はバスは来ないから一緒にタクシーに乗りましょう」と行き先がまったく同じだったので、その職場までご一緒させていただいた。ご主人は今何をなさっています?とお聞きする。確かに写真を撮るのがお好きだった方で、色々な写真展にも出品されていた。5年前に退職されて、1年間はブラブラ好きな事をしていたが、今では近くのゴルフ場でアルバイトをなさっていらっしゃるようだ。朝は早いことがあるが、それでもかつてと違って深夜勤務もなく、時間に振り回されない生活を送っていらっしゃる。このような時間に追われない生活というのは理想である。
▼そうこうしているうちに目的の場所に着いた。きょうはここの責任者に頼まれて新しいパソコンを2台セットアップすることだった。本部の方からシステムを新しくするので送って来た。インターネットやらLANの設定をする業者に連絡したら、セットアップまでは自分でやってくれ、と言うことになった。そこで「編集長にぜひ」というお声がかかったわけだ。回線の接続はないからごく短時間で作業は終わった。こういう簡単な仕事は大歓迎だ。責任者に最寄りのバス停まで送っていただいた。助手席に「週刊金曜日」が置いてあった。最初は期待して定期購読していたが、その後一時止めて再び今読み出したということだった。最近号のトヨタの生産ラインでの事故告発や、辺見庸の記事は読ませますよね、という事で意見は一致した。
▼今朝朝日朝刊9面に「コスタリカ」について「平和の国近く変動」という特集がある。現政権のアリアス政権に新興勢力のソリス候補が接近した大統領選挙の事だ。得票がアリアス氏40.52%でソリス氏40.27%となり開票がもう一度手作業で行われているという内容だ。日本でも一部で「軍隊のない平和の国」ともてはやされて来たコスタリカだ。わたしは一貫して批判して来たが、地球上にもし善人ばかりいればそれは実現可能かも知れない。しかし実態は04年に前大統領が汚職で捕まったり、90年以降大統領が3人も汚職疑惑が出てきた。つまり今までは過去の虐殺などの歴史に踏まえ、対アメリカとの関係では基地を提供するなど、絶妙な政治バランス感覚で政権を維持したきた。それに他の南米の諸国と違って単一の鉱物資源だけでなく、観光資源など複数あってクーデターが起こしにくかった。この好条件を見た外資が飛びついたため8年間で貧困人口が27%にも増えてしまった。7,8年ほど前に日本に来たコスタリカの外務大臣に話を聞いた事がある。彼でさえ当時、カラシニコフを使った強盗事件が多発して治安が悪化していると言っていた。
▼現政権を続けようとするならば、もっと世論をバックにした運動を起こさないと、大統領選挙の結果はボリビアやチリとは逆の道を歩くことになりかねない。コスタリカに行ったことのある人の言葉を借りれば、「コスタリカは貧乏だから軍隊を持てないだけの話ですよ」という事になる。所詮地球上には理想の国などないというお話。

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