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April 30, 2006

◇「グッドナイト&グッドラック 」を見る

▼編集会議が終わって飲んでいるとき誰かが「旅情は好きな映画だ」という話になった。どんなの?と聞くと「記者と中国人看護婦がでてくるの」という。「そりゃ違うわ、『慕情』だよ、』記者はウィリアム・ホールデンの」とわたしは主題曲を口ずさむ。「ター、タラララ、ラーララ」。そうそう、でも「旅情もすきだ」と食い下がる某女。1週間前の日本経済新聞最終面に小田島雄志だったらボケはじめた老夫婦の会話が出てきて、上記のように映画のタイトルも主演者もごっちゃになって、その正解を見つける作業がボケ予防になるのだと書いていた。
▼先週初め家族からわたしにお勧めの映画があった、と云われた。「何?」と聞くのだが、単館上映以外の言葉を覚えていないようだった。それ以外映画の内容も出演者のヒントも何一つない。わたしはそれでも2日間必死に考えていた。考え始めて2日目の午後3時ころだったがふと、「グッドナイト&グッドデイ」ではないかと映画の内容を家族に電話したら、「おそらくそうだと思う」という返事が返ってきた。
▼ベトナム戦争後半、解放戦線の攻撃が激しさを増してきたので、米軍は北ベトナムに戦略爆撃機B52などを使って爆撃(いわゆる北爆)をはじめた。これは主権を犯す戦争行為であることは云うまでもない。もし北ベトナムが大陸間弾道弾ICBMを持ってアメリカを攻撃しても、文句は言えない。しかし北ベトナムにはそんな力はなかった。アメリカは北の病院を狙った攻撃すら行っていた。当時TBSTVのニュースキャスターをしていた田英夫は1967年に「北ベトナム取材「ハノイ――田英夫の証言」を放送した。ところがアメリカ大使館筋からTBSは赤化しているという攻撃を受け、田は辞職に追い込まれる。そのときの最後の挨拶は「それではみなさん、さようなら」といつもとまったく同じ挨拶で締めくくってキャスターを降りた。この「グッドナイト&グッドラック 」を見て、この事を思いだした。
▼◇「グッドナイト&グッドラック 」冷戦が始まってアメリカ国内ではマッカーシーによる「非米委員会」(政府機関や報道機関にいるといわれた、いわゆる共産主義者狩り)が発足し、上院議員のマッカーシーはその先鋒に立った。そしてあちこちの共産主義者を摘発する。アメリカのほとんどすべての報道機関もマッカーシーに反論して、ライセンスを取りあげられるのが怖いので、口をつぐむか反論をせずマッカーシーの云ったことだけを報道した。しかしゆいつCBSTVの教育委員会委員長エド・マローだけが、自由な報道を守るという立場でそれに反論しようと考えた。登場するのは昔のフィルムに出てくるマッカーシーそのもので、マローたちと対決することになる。CBSの社長も立派だと思うのだが、平日のゴールデンアワーなので、娯楽番組に差し換えれば儲かるのだが、あえてそれをしない。他の放送局はマッカーシーの云っていることを、検証もせずそのまま載せるのだが、マローたち10人ほどのスタッフは、一つひとつ検証して、マッカーシーが引用する言葉も自分の都合の良い部分だけ利用していることが分かってくる。そして非米委員会の実写、国防省の暗号係の女性が審問に引き出される。彼女は暗号係に配属されてただ云われるままに、タイプしていただけで内容は知る立場になかったと証言する。しかしマッカーシーは「FBIの覆面捜査官が彼女が共産党の集会に出ていた、資金カンパをしていたという証拠をつかんだ」と言い張る。しかしまともな弁護士やマローたちは、「匿名の告発がまかり通りならば、密告社会になって何でも有りだ」と反論する。丹念な検証の上にマッカーシーのウソを否定する番組を作る。その前グループの責任者ジョージ・クルーニーはスタッフに、「マッカーシーに難癖を付けられるとまずいので、心当たりのある者は降りてくれ」と要請する。一人の男は「10年ほど前に別れた妻が共産党の集会に出たことがある」と申し出てスタッフを降りる。はたしてマーローたちの作った番組は、いくつかの新聞で勇気ある記者によって絶賛され力つけられる。しかしマッカーシーからは「反論番組の枠提供」を要求される。そしてマッカーシーの実写は、マローを社会主義者だという証拠があると口汚く罵る場面がでる。マローは「マッカーシーは自分の敵はすべて共産主義者の汚名を着せるのが手口だ」と暴く。CBSの奮闘もあり、マッカーシーの論法は影響力を失っていく。そしてアイゼンハウワー大統領の実写「我が国は民主的な司法制度があるから、理由なく牢獄に放り込まれることはない」と強調する。CBSは予算縮小をせざるを得なくなり番組は日曜日の別枠に移動し、スタッフは「あと5回の番組は打ち切り」を宣告される。しかし世論の流れを変えさせたという、CBSのスタッフの影響力は大きく評価されている。それに引き替え日本の報道機関の情けなさよ。ジョージ・クルーニーはこの間のCIAは石油会社の手先だったという「シリアナ」とか、今回も良い映画を監督している。六本木バージンシネマ他。
▼チケットプレゼントのお知らせ。5月7日(日)午後2時から「ウィーン少年合唱団」のコンサートのチケットをプレゼントします。場所:新宿初台東京オペラシティ。対象者:この1ヵ月以内にWeb『鍵盤乱麻』ならびにメルマガに投稿してくださった方を優先します。先着4名様まで。ご希望の方は至急メールか電話を下さい。

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