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June 01, 2006

ベトナム戦争とジャーナリスト

▼31日夜10時、NHK地上波1ch「そのとき歴史は動いた/ベトナム戦争の真実を伝えたジャーナリスト」を見た。誰を取り上げるのかと思ったら、ニール・シーハン、デビット・ハルバースタム、それにウォルター・クロンカイトだったので、多少がっかりした。とくに3人目のクロンカイトなどは、体制寄りの人かとわたしは思っていた。ジャーナリストではないが、政府内にあったエルズバーグの方が、身を挺して戦争の抑止力としての力を発揮したのではないかと思う。クロンカイトが登場するなら、マクナマラだってアリになってしまうような気がする。
▼トンキン湾事件から戦争が拡大していく様子を紹介したが、北ベトナムや解放戦線を取材していないし、どうも「地獄の黙示録」的なアメリカ側から見たベトナム戦争だ。反戦運動がアメリカ国内で盛り上がったのには、色々な原因がある。ベトナムの抵抗勢力が力を持ってきて、アメリカ兵の死傷者が激増したことが第一。戦争のためアメリカ経済が疲弊して失業者が増えたことが第二。色々な無名なジャーナリストが報道したことで、世界各地で反戦運動が盛り上がった事ではないか。
▼スタジオのゲストには石川文洋氏が出ていて、コメントを出していた。彼はベトナム海兵大隊奮戦記というTVドキュメンタリーで、解放戦線兵士のクビを切り落とす場面をスクープして有名になった。石川氏も当時は無名のカメラマンだったのだが、このような無数のジャーナリストが活躍していた。そして理不尽なソンミ村のような一般人に対する殺害がくり返して行われている事が報道された。そのことによって、人々にアメリカのベトナム侵略戦争はおかしいのでは、という世論が世界中で形成されていった。
▼だからトンキン湾事件がねつ造されたものだと分かった時、日本国内では「やはりそうだろう」という率直な感想だった。もう一つ北爆で北の軍事目標はたった8%しかなく、病院や教会も攻撃されたという事の方が批判が高まった。そしてソンミ村の大量無差別虐殺、枯れ葉剤の散布で米軍に対する怒りは高まる。だから上記アメリカ人ジャーナリストは、本多勝一の言う「殺される側の論理」の展開ではなく、「殺す側の論理」の矛盾であった。ここに白人の有色人種蔑視感が最高潮に達する。何もこれは当時の事だけではなく、イージス艦や新しい早期警戒レーダーは、アメリカ本国を守る事が最大目標になっている事でも分かる。
▼それでアメリカがベトナム戦争で学んだ事は、自分の国を守るため、美辞麗句の羅列で正当化することだ。そしてマスメディアの影響を恐れて、報道を軍によってコントロールすることだった。だから湾岸戦争以後「綺麗な戦争」、「目標限定攻撃」としてダーティな面を一切取材させなくなってしまった。では我々は何をすべきか?軍が報道をコントロールして取材させないなら、フリーのジャーナリストなどが自費で取材して自分のブログに発表した事だ。そして取材経費はブログで拠金を求めた。誰もやらなければ自分で取材して書く、という姿勢は高遠菜穂子さんのブログなどで現実に試されている。日本のブログはタレントやスポーツ選手のうわさ話や、有名人、政治家の自慢話に終わって変質してしまっているのは情けない話だ。
▼昨日銀行の引き出しで待ちぼうけさせられているときの事。1冊の横浜の観光地を紹介する雑誌があったので、パラパラめくっていた。その最後の方に吉岡忍が書いていた。彼は早稲田在学中ベ平連活動に加わっていた。そのエッセイは彼はジャテックというベトナム戦争を忌避する米兵を、スウェーデンに亡命させる組織の活動をしていた。米兵は2週間くらいの休暇をもらって横浜のホテルに滞在しているとき、脱出させるのだ。吉岡によると最初はビラに連絡先を書いたら、本当に希望米兵から電話がかかってきて慌てて対策を立てたとある。そしてホテルに一旦戻らせて、何気なく外出するフリをして、最小限の荷物だけを持ち出させるのだ。中には日本の憲法を熟知している米兵もいて「日本は憲法九条で戦争を放棄しているはずだから、日本に亡命したい」と訴える人もいる。そこで現実の憲法と乖離し、日本政府がベトナム戦争の兵站基地として機能していることを分かって貰うのに苦労したというのだ。
▼そしてBS-iで同じ時間帯午後10時から「アジアクルーズ」という新番組を放映していた。この日は「ハノイからベトナム中部」までだったが、その美しさにこれは何としても来年行かなければと思った

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