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June 08, 2006

◇CGに吸い取られた「ポセイドン」

▼72年の「ポセイドン・アドベンチャー」は大津波で豪華客船が転覆して、大勢の客が爆発事故などで死ぬ。この映画は某美術史家も、クリスマスの前の授業で「レンタルビデオで見ると良い」言っていたが、その理由は分からなかった。うろ覚えの記憶ではジーン・ハックマンが牧師かなにかで、我が身を犠牲にして他の人たちを助けるという、宗教観が基本にあったように思う。それに何と言っても後半オリビア・ハッセーが白い下着姿で脱出するために潜水する場面が、今思い出してもまぶしいくらいだった。
▼◇「ポセイドン」余り期待もしないし、面白そうではなかったが、監督が「Uボート」のピーターゼンだったので見た。一応彼が作った映画は全部みているが、Uボート以降ロクな作品はない。わたし的に言えば唯一「エア・ホース・ワン」だけは良かった。別にハリソン・フォードファンではない。今や彼はワンパターンの家族を守るために、敵と必死に戦うという演技しかできなくなってしまった。フォードはあの映画では合衆国大統領だ。わたしはテロリストを演じたゲーリー・オールドマンが好きなのである。彼は牢獄につながれた、カストロそっくりの某国首相である親分を救い出す目的を持って、大統領専用機をハイジャックする。超法規措置で釈放された首相は、監獄の出口へ一歩一歩近づく。そのバックではインターナショナルが鳴っている。だが出る瞬間、ソ連と思われる国の狙撃兵が彼を射殺してしまう。つまりソ連とアメリカは裏で手を握っていたのだ。この苦しみがアメリカ大統領に分かるか?オールドマンの絶叫が聞こえてくる。ピーターゼンのこの作品は、そういう意味で面白かった。
▼そして今回のリメイク「ポセイドン」最初の豪華客船の空撮シーンから全部CGだという。ギャンブラーがいやに船の構造に詳しいと思っていたら元海軍に勤務していたというので納得。都合の良いことに逃げる一行には船の設計者もいる。いやに手回しが良い。あと元NY市長にカート・ラッセル。一緒に逃げるのは彼の娘とその婚約者。あと離婚した妻とその娘というご一行様だ。しかし外国人女性はなぜあんなに大口をあけて絶叫するのだろう。とにかくあの絶叫がすさまじい。極限状態にあって余計なエネルギーは使わず温存しておくべきだ。そしてモーターが火災で暴走してシンドラーエレベータのように潰されてしまうボーイとか…。ご丁寧にイブニング・ドレスを着ていたラッセルの娘も途中からジーンズに履き替えるという、手回しの良さだ。水に濡れたジーンズなんて、水難事故で逃げるとき最悪のはずだ。黒人船長も、この一等客室は沈まないと仁王立ちになるが、まったく迫力はない。またまたこの映画も、ハリウッドのCG会社の雇用対策として作られた作品としか見えない。哀しみも生命の尊さも伝わってこない。そういう意味ではまだ、あの駄作「タイタニック」の方が哲学があってまだマシだ。
▼7日のアクセス数97.米国1件、他1件。

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