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August 11, 2006

◇「蟻の兵隊」を見る

▼◇「蟻の兵隊」を見る。午前中多忙夕方まで待たれよ。
▼8月15日に靖国神社にいくと時代を間違えたかと勘違いするほど異様な雰囲気に包まれている。軍装に三八式歩兵銃を担えつつして、「天皇陛下万歳!」を叫ぶ一団がいる。その中でひときわ目立つのはあの戦後40年も経って帰還した小野田寛夫だ。彼はハイテンションに演説をして演壇を降りる。そこにこの映画の主人公奥村和一氏(80歳)は語りかける「小野田さんあなたは好戦派なんですか?」と。小野田は血相を変えてつかみかからんばかりに、奥村氏に「君は陛下の終戦の詔勅を読んでいないのか?」と言葉を投げつけて去る。
▼奥村は北支派遣第一軍(59000人)にいて敗戦を迎えた。ところが実際帰国したのはそれから10年後だった。その10年の戦闘で500人もの日本兵が死んでいる。なぜこんな事が起こったか?上記軍団の約2600名がポツダム宣言に違反して武装解除をされることなく、国民党軍に編入され人民解放軍と戦わされていたのだ。
▼日本政府は彼らは勝手に居残って戦闘をしていたので、傭兵であり戦後補償はしないという立場をとり続けていた。現実に高裁で最近控訴棄却を宣告されている。そして現在は軍人恩給の支給を求めて最高裁に上告している。奥村は当時の軍団長と国民党の司令官との間に密約があったと考えて単独(カメラマン兼監督と)中国山西省に渡る。そこで公文書館に行って密約文書を見つける。そこには日本軍の指令官は卑怯にも日本軍を協力させるが、自分は戦犯として逮捕されないように変名で日本に帰国すると記されていた。
▼そして奥村は調査をすすめていくうちに、監督に自らが初年兵教育で銃剣の刺突訓練で人を殺していることを告白する。これは山本薩夫の「戦争と人間」第三部あたりで山本圭が演ずる同じ場面がある。現地で文書を当たると、初年兵は「肝試し」として刺突をやらせるようにという、訓令が発見される。奥村もまた自分ももう一年現地で戦っていたら部下に刺突を命令する立場になっていたに違いないという。そして山東省で日本軍に強姦された女性や、肉親を殺害された人たちに会う。中国の人々は「よくぞ告白してくれた。今のあなたは過去を心から悔いているのだから、悪い人には見えない」とあくまで寛容である。
▼そして帰国してかつての上官を報告かたがた訪ねる。上官は士官だから「閣下」と呼ぶ。戦後60年たっても兵隊時代の階級は厳として残っている!90歳の閣下はすでに病院の病床にあり、意識はなく娘さんが介護をしている。だが奥村が現地の報告をすると、分かるのだろうか、悔しさに涙を溜めて何やら喚いている。娘さんは「わかるのでしょうか?」と驚きを隠さない。
▼奥村らは戦いたくて残留して戦後10年も戦ったのではない。上官の命乞いの取引の材料にされたのだ。奥村はその上官の家を探し当ててカメラとともに訴えに行くが「そんな60年も昔の話は覚えていないよ」と門前払いされる。方や軍人恩給を貰って靖国神社で祀られる人。方や何の保障もなく、妻たちに支えられ寂しい老後を送っている人たちがいることを忘れてはならない。渋谷イメージフォラム。表参道下車、青山学院側を歩いて渋谷駅方向に進む。10分ほど歩いてスタバを左折したところ。1時間前に行かないと入れない。
▼イッセイ尾形の「太陽」も見ていますが、これは銀座シネパトスは130席ですから日曜で2時間前に行かないと入れません。13日の日曜日あたり書きます。

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