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December 16, 2006

◇「硫黄島からの手紙」を見る

▼既に「クリムト」と「硫黄島からの手紙」は見ているのだが、書くヒマがない。住んでいるマンションの前の2階建つ旧家が壊されて、バイクショップの4階建てパーツ倉庫になるのだという。地鎮祭が終わって足場の組み立てが始まった。昨日工事関係者がタオルを持って一軒一軒挨拶に来た。我が家は3階だから完全にふさがれてしまい、洗濯物が乾きにくくなる。幸い1階が受け付けで人は住まないというのが救いだ。工事は来年5月まで続くので、どうしてもうるさい時はノートパソコンを持って近くの図書館に行こうと思っている。
▼◇「硫黄島からの手紙」今の硫黄島は自衛隊た駐屯するだけで、他の人は出入りが出来ない。するとこの映画はどこで撮影されたのだろうと思う。前作「父親たちの星条旗」は爆発音で参ったので、今回は強力な耳栓を持参した。まず栗林中将が任務に就く場面から始まる。軍用機(なぜかダグラス、仕方ないか)を降り立った栗林は島を一周するという。部下は「ジープを用意します」などという。当時の日本軍では四輪駆動のジープはなかった。しかも38式歩兵銃の事を「ライフル」と連発する。それでもなおかつ日系二世であろう脚本家は、日本人のメンタリティを忠実に再現している。だからジョン・ウーの「ウィンドウ・トーカーズ」などとは、まったく違い日本人が見ても何ら違和感がない。部下が「戦争が早く終わって内地に帰りたい」、と呟いたのを見とがめ、殴っている場面に遭遇する栗林、軍曹くらいの兵に「部下を肉体的に虐待して、その代わりはあるのか?」と問いつめる。映画はアメリカに留学したことのある長野県出身の栗林と中佐の伊原を善として描く。そして強硬派の獅童を悪として描く。
▼つまり栗林はアメリカは物量作戦で来るから、上陸地点の波打ち際で塹壕を掘っても意味はない。だからすり鉢山に地下壕を掘って抵抗しようという作戦jだ。それが先任将校らには、「アメリカかぶれの弱腰」と映る。だが栗林は玉砕することを禁じ、ここで最大限の力を使って抵抗が長引かせることが、本土決戦になったとき、交渉も有利に働くと自分自身を納得させる。
▼この映画で、もう一人の主人公はパン屋出身で身重の妻を残して出征した一兵卒の事である。ここを死に場所に選んだ栗林とともに、「生きて帰りたい」と希求するパン屋の行き方がテーマになる。それと印象に残ったのは憲兵として採用されたが、見回りの最中日の丸を掲揚していなかった家に忠告に行き、上官の命令で泣き叫ぶ犬を「処分」できずウソをついたため見せしめとして配属させられた兵士が出てくる。要するに国の命令に従わなかった人々が多数配置させられたという脚本になっている。
▼そしてもう一つ玉砕を禁じられたにもかかわらず、手榴弾を使った目を覆うばかりの集団自決。NHKのTVでは生き残ったわずかな人々が登場して「硫黄島は地獄だった」と表現している。しかしこの映画では現実に体験したであろう、地獄とはかなりかけ離れているように思う。それでもなおかつ硫黄島で命を捨てなければならなかった人々の無念さは十分に伝わってくる力作である。

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