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January 26, 2007

「それでもボクはやっていない」を見る

◇「それでもボクはやっていない」周防監督の最新作でかつ今までのファンタスティックな物とはひと味も二味も違う。わたしは混んだ電車に乗るときは手の置き場に細心の注意を払う。両手をみんなに見える場所に置く。つまり片方の腕はつり革にしっかりつかまり、片方はスチールパイプを握る。こうしておけば痴漢と間違えられる心配はまずない。現実には総武線の下り電車は必ず座れるし、三鷹に行くときも午後からだから空いていて、飯田橋か市ヶ谷で座ることができる。
▼この映画はフリーターの金子青年が満員電車に乗って面接に行こうとしていた。そのとき履歴書を持っていたかどうか確かめる為に一時下車する。しかしバッグに履歴書は入っていなかったので、再び駅員さんに押し込まれる。そのときスーツの袖が扉に挟まってしまい、それを抜こうとして身体を動かしていると、中学生から「痴漢でしょ」と言って腕を掴まれて駅員詰め所に連れて行かれる。同行したのは太った男と痩せた女で後者の女性は「この人ではない」と言って立ち去ってしまう。駅員は業務として警察に連絡する。そこでは、熾烈な取り調べが待っている。「やった」と言えばすぐ出られる。否認すると何か月入っているか分からないと取り調べの警官から、あの手この手で責められる。何も知らない金子は「当番弁護士制度」があることを独房の仲間から教えてもらう。
▼しかしやってきた当番弁護士は「否認しても勝ち目はないし時間がかかってもったいないから、認めるよう」逆に説得され、がっかりする。金子と連絡の取れた親友と状況した母親はつてをたどってようやく、刑事事件に強い弁護士を見つける。弁護士は沢山いるが、司法試験を受けて企業の顧問弁護士になったらカネは入るが、現実は代理人以上の仕事はしない。国と対決する刑事弁護士はあまりなり手もいないのが現実なのだろう。まだ経験が少ない瀬戸朝香弁護士は、「痴漢担当などイヤだ」と渋々引き受け面接にいく。
▼最初は金子も瀬戸も半信半疑だったので、人間関係が作りにくい。しかし他の痴漢冤罪事件の被告だったメンバーが協力しはじめ、目撃者発見のためのビラまきで協力を始める。しかし現実には裁判官もサラリーマンで、受け持っている件数は多い。それをてきぱきとこなさなければ上司から良く思われない。それどころか刑事事件で「無罪」を言い渡す事は、国家に対する反逆である。「反逆」は上司の評価点数は下がり、左遷の口実となる。日本の刑事事件の99.9%が「有罪」となるのは、この国家を守ためのシステムが貫かれているからだ。考えて見れば歴史的に「国家の敗訴」を言い渡した裁判官は再び陽の目を見ていない。
▼今朝も早くから大網でお仕事で、パソコンを担いでいつもより早出です。そして夕方から編集会議と新年会が待ってます。

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