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April 17, 2007

◇「素粒子」を見る

▼◇「素粒子」ヨーロッパでもの凄い人気を博したというミシェル・ウエルベックの同名のベストセラーの映画化。原作を読まないと、小説がどのように表現されているか分からない。一言で言うとかなり難解である。だからいくらヨーロッパのベストセラーといえども渋谷のユーロスペースの片隅の単館上映になってしまう。中心となる二人に「ラン・ローラ・ラン」の二人が出ている。そしてもう一人「善き人のためのソナタ」の女優役のマルティナ・ケデックがセクシーな役柄を演じている。話はドイツの異父兄弟の二人が主人公である。兄のブルーノは国語教師でまだ10代の女子生徒に宿題の感想を求められるが、上の空でその少女との妄想に耽っている。もう一人大学で数学者をしている弟ミヒャエルに会いに行くが、彼は指導教授が舌を巻くほどの実力を持っているが、思うところあって教授の職を辞してフィンランドか何かに行ってしまう。二人の母は60年代にヒッピーをして、ドイツをさまよい歩いていたため、別の男性と知り合って父が異なる子どもを産んだ経緯があった。
▼従ってその遺伝子は二人も持っている訳だ。兄は学校が夏休みのとき、ヌーディスト・クラブのキャンプに出かけていく。そこの露天風呂で一人の魅力的な女性に出会う。ここからがこの作家のテーマになると思われるが、性の快楽と、生殖行為は切り放して考える事ができるかどうか、という実験を兄が行うことになる。そして弟は幼なじみの女性と昔から好きだったという告白をして、親交を復活させる。ところが彼とは物理的な距離が彼女を不安にさせ、自殺未遂を計ってしまう。兄はこれこそ理想の女性だと信じていた彼女が乱交パーティの最中、大腿部に大けがをして半身不随になってしまう。入院して、「セックスをする事ができなくなっても、私を好きになっていてくれるか」と問われ、一瞬返事を躊躇する。だがそれが思わぬ結果をもたらす。心の安らぎ場所を見いだせない現代人はとても不幸である、と作者は言っているように思える。

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