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April 22, 2007

◇「ドレスデン運命の日」を見る

▼◇「ドレスデン運命の日」東京大空襲から一月前の1945年2月13日から14日にかけてドイツのドレスデンは英軍によって無差別爆撃が行われた。それによって3万人とも15万人とも言われる市民が死亡した。都市に対する無差別爆撃は、罪もない一般市民を殺害することになるからと、国際的には戦争の早期終結には効果的でないという意見が多かったが、日本でもドイツでもそれは無視された。このドレスデン爆撃がなぜ強行されたか、歴史的に見るとドイツが破竹の勢いでベルリンに迫っていたため、占領後の英国の発言力を確保しようという狙いがあったのではないかと、わたし(筆者)は思う。そういう話は映画には一切出てこない。
▼ドレスデンの病院の看護婦ハンナが主人公である。彼女の父親は病院の経営者で大金持ち、次女はナチスの将校とつきあっており、権力欲がある。イギリスはようやく長距離爆撃機を開発してようやくドレスデンまで、往復10時間の爆撃ができるようになる。チャーチルの判断でドレスデン爆撃をする決断が下される。爆撃というのはいかに功利的にやるか計算されている。第一次としてまず侵入経路を示す、緑のマーカー弾が投下される。第二次攻撃は爆弾投下位置を示す赤いマーカー弾が投下され、最終的な第三次爆撃隊がそれをめがけて爆弾を投下する。最後に燃えていない部分を第四次爆撃隊が絨毯爆撃をするのだ。
▼第一次に先立つ攻撃でドイツ軍に撃墜されたパイロットはパラシュートで降りると、千葉の九十九里で撃墜されたB29のパイロットたちが戦前行われたように、ドイツ市民によってなぶり殺しにされる。かろうじて生き残った彼を助けようとするのが、ハンナである。ハンナは父親の命令で病院の腕利き医師と結婚を控えている。しかし負傷兵の治療だけに専念している彼をどうも心底好きになる事ができない。たとえば危篤状態にある子どもの治療が優先させるべきと考えるハンナに、彼はもう手当が間に合わないから、重症を負った兵士を助ける。そして腹黒い父親は病院のモルヒネを大量に隠匿して、それをナチスの将校にこっそり回して、大金を貯え外国に逃亡して大きな病院を建設しようとしている。それを手助けしているのが、未來の夫である。
▼負傷したパイロットは母がドイツ人で父がイギリス人だったため、ドイツに少なからぬ親しみを感じている。そのことからハンナと深い関係になってしまう。戦時下なのに!地下室で何をしているのだ、あの「スターリングラード」のジュード・ロウとレイチェル・ワイズみたいだ。そんなことを爆弾が投下される非常時にしてはいかんのだ。しかし色々文献を読みあさって見ると、ヒトラーが立てこもっていたナチスの地下指揮室でも同様な事が行われていたという。つまり人間は死に直面すると種を保存しようとする本能が働くというのだ。閑話休題横道にそれていてはいかん。
▼そして上記の爆撃が始まるハンナ一家が海外逃亡を試みてドレスデン駅に着いたところで爆撃にあう。父親はトランク一杯詰まった札束を空中に舞わす。ハンナは地下室を伝って外に出ようとする。爆撃が長く続くため地下室に保存しておいた、ジャムの瓶が沸騰して「バシッ」と恥じけ散る場面は「ユーボート」のボルトと同じくリアルだ。長い空襲が終わって地上に出るとそこは廃墟になっている。そして人間も東京大空襲の時と同じく炭化して形を留めている。果たして空襲は何をもらたしたか?
▼はっきり言って初日初回の朝9時20分に行ってみたがとてもつまらない映画だ。つまり三角関係のラブロマンスと空襲を無理遣りくっつけたことが問題だ。空襲を受けたドイツ人も何も反省していない。何か神の啓示にあって空襲という試練を受けたというような事を言っている。これは長崎の原爆投下で永井某博士が言っていた論拠と同一になってしまう。2時間半は長いし退屈である。

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