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April 10, 2007

◇「ラストキング・オブ…」と、カンボジア(5)

Ankortom1アンコールトムで
▼今公開中の「ブラック・ブック」をご覧になった方から、「重い映画だ」という感想をお聞きした。なぜ重いかというと、今までのこの手の映画はナチス=悪、レジスタンス=善というパターンで描かれていた。ところがこの映画ではナチスの中にも無益な処刑をやめさせ、レジスタンスの犠牲をなるべく少なくさせようと考えているナチスの情報将校がいる。レジスタンスの中にも自分の命惜しさに味方をナチスに売り、敗戦が確定的になると、自分を正義のシンボルとして正当化する男がいる。人間だから当然のことなのだが、この辺がしっかり描かれている。それをカンボジアに当てはめて考えると、ポルポトの残党は生き残っている。だから彼らの行動を「犯罪」としていつまでも断罪し続けることは新しい政府を作る上で得策にはならない、と考える。
▼ガイド氏はポルポトの強制収容所から逃れてタイ国境にある、難民キャンプに10年間滞在した。その数300万人。向上心がある彼はそこlで、日本語を覚え、さらに英語を覚えたため、国連UNTACの目に止まる。その仕事を5年ほどしたときに、国連軍監視下で民主化の選挙が行われる。ガイド氏の言葉によれば、彼に課せられたのは1000票を集める事だったという。国の秩序がなくなったとき、そういう方法で民衆を結集していくのかと思った。
▼昨晩NHK「クローズアップ現代」をご覧になっただろうか?「インドシナロード」という特集だった。タイからベトナムのダナンに行く横断道路が完成した。そしてもう一本雲南省からタイまで行く縦断道路が建設が予定されている。カンボジアを通過する道は一つもない。カンボジアは工業化からますます立ち後れてしまう。アンコールトムにある夕焼けの絶景ポイントで日没を待っているとき、関西から来た一人の日本人男性に出会った。
▼◇「ラストキング・オブ・スコットランド」スコットランドの医大を卒業した青年ニコラスはどこかで自分の実力を試して見ようと思い、「もしツアー」のように地球儀をグルグル回して指の止まった国に行こうとする。最初はカナダに指が止まるが、魅力を感じなかった彼はもう一度やり直してウガンダに指が止まる。遙々やってきたものの、彼の仕事は現地人の皮膚病の治療とかであまり魅力を感じない。診療所には40代の医師と魅力的な妻と二人で仕事をしていた。ある時責任者の医師が往診に行っていたとき、アミン大統領(フォレスト・ウィッテカー「スモーク」とか「パニックルーム」に出ていたが、今まで線が細く本当の悪役を演じきれなかった)の車が牛と衝突して大統領は怪我をした、という連絡がはいる。駆けつけると大統領は青ざめていたがねんざだった。包帯を巻いて手厚い看護をし、喚いていた牛を治療の妨げになると射殺したところ、大統領のお気に入りとして主治医になるように招かれる。89%はまじないに頼っている村人よりも、権力に近い地位は若者に取って魅力的であるので二つ返事でOkする。
▼アミンと言えば「人を喰う」という逸話が残っている。本当のところは分からないが、どこの独裁者もイエスマンを必要とする。これは「裸の王様」から何も変わっていない。自堕落な生活を送っているアミンはニコラスを次第に気に入っていく。そして大統領の顧問になってくれと依頼される。顧問とは医療だけでなく、政権争いに巻き込まれる事になる。つまり大統領の耳となって、怪しい人物を密告していく。それと共にアミンはニコラスに自分の妹さてあてがえる。二人は当然男女の間柄になり、妊娠が発覚したときから、のっぴきならない立場に追い込まれる。任務を解いて欲しいと訴えるニコラスのスコットランド国籍のパスポートを留守中に奪い、ウガンダのパスポートを持たせ、国外脱出をさせまいとする。大統領の側近はみんな反アミン勢力に見えてくるので、密告合戦を繰り広げる。アミンを見限ったニコラスは毒を盛ろうとする。だが別の側近はそれを見抜きニコラスを捕らえ、素肌の家畜のフックを2本引っかけて逆さ釣りのリンチにかける。
▼実際に人を喰わなかったかも知れないが、イエスマンに囲まれたアミンは自分と自分の身内が豊になることにしか目は行かなかった。そして権力欲にとりつかれたニコラスは重いツケを払うことになる。

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