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April 15, 2007

◇「ツォツィ」とカンボジア(10)

Hune1水上生活者(手前)と遊覧船
▼最後に向かったのはカンボジアで最も大きなトンレサップ湖である。この湖はメコン川の源流ともなり、伸縮する湖として知られている、つまりカンボジアの雨季は7月から11月でこの時期になると湖の水位は高いところで約6mもあがるので、面積も増える。カンボジアの米の二毛作はごく限られた川縁の地区だけだ。この時期田んぼは干上がって畑のようになっている。わたしたちが湖水に向かっているとき、茶色に濁った河の両脇の地域では既に稲が刈られて干してあった。見ていると耕作には牛や水牛を使っており、干す方法なども昔の日本と全く同じであった。2日間走った首都シムリアップと違い、ゴミがうち捨てられた郊外のスラム街から、湖に向かうと2歳くらいまでの子どもたちは素っ裸で育てられていた。
▼カンボジアの家の最も安い建築方法はニッパ椰子で屋根を葺く。次はトタンだがこれは夏は暑い。そして最も快適なのは素焼きの瓦でこれはベトナムと同じだ。さらに車を進めていくとニッパ椰子に高床式の家が両脇に並んでいる。つまり水位が上がると、この湖の近くに住む家々は移動する仕組みだ。水上生活者も多く、彼らの子どもが通う学校は各国の援助によって水上校舎が建てられていた。体育館も図書館も棟ごとに水上に浮かんでいた。
▼船外機の船にガイドさんと船長と操舵手とわたしたち2人が乗り込む。自動車のエンジンを取り外したものを使い、推進器のスクリューも梶も手作りだった。船を使って観光案内や漁をできる人はまだ恵まれており。川縁に生活している少なからぬ人は素潜りや首まで泥水に浸かって網ややななどで湖水に生息数ナマズや鯉をとって生計を立てているようだった。やがて対岸も見えない湖の中央に出ると水上の家が集合している村がある。そこでは水上で豚などが飼育されていたり、台湾に輸出用するためワニも飼育されている。さらに村の中央部には韓国資本による休憩所兼観光客用のおみやげ物屋さんがある。ガイドさんが「寄りますか?」と船首を向けると、手こぎの親子数人で漕ぐ舟が数隻あっという間にレガッタレースのように近づいてきた。観光客は重要な現金収入の道なのだろう。
▼漁で取った魚の多くはタイに出荷されるという。またこの湖で暮らす人たちはカンボジア人だけでなく、戦争に来て帰らなくなってしまったベトナム人、それにタイから来て住み着いてしまった人たちも多くいるという話だった。海が殆どないカンボジアにあって、見たところ港に面した町はその機能を果たしていないように思える。このレサップはボーダーレスの湖となって、3ヶ国の人々の生活を潤しているのかも知れない。(終わり)ご意見、感想をお寄せ下さい。カンボジアでは写真を520枚ほど撮りましたので、いずれかの機会にお見せします。
▼◇「ツォツィ」
タイトルは「不良」という意味だ。一見不良のような人に暴力行為を働く人たちはどうしたら優しくなることが出来るのだろうか?南アフリカのスラム街に住む5人組みの若者ギャングはお金を持っている人たちを探し、現金を強奪することで生計を立てている。ある時富裕層の住む高級住宅街で車を運転する主婦に銃を発砲し車を強奪する。ところが車を交通標識にぶつけて逃げだそうとすると、後部座席に赤ちゃんが入るのを発見する。置いてそのまま逃げようとした、主人公のツォツィはつい心を引かれて、紙の手提げ袋に入れて自分のバラックに逃げてくる。赤ちゃんが泣くのでその辺にあった菓子のかけらを与えるがそれでも泣き止まないので、コンデンスミルクの封を切って、飲ませそのまま放っておく。そしておむつが汚れているのに気づき、新聞紙を切り裂いてその代わりにする。
▼「仕事」に出て帰宅すると、赤ちゃんの口にあてがったコンデンスミルクのめがけて蟻が寄ってきて赤ちゃんは蟻まみれになって驚く。困った彼は近くの乳児を抱えている女性を銃で脅して授乳するように命じる。実は彼の夫も鉱山で働く労働者だったが、ある時襲われて命を落としている。今はミシン一つを使って仕立てと、モビールを手作りして生計を立てている。彼女は授乳が終わると汚れきった赤ちゃんの身体を丁寧にふいてやる。そしてツォツィに「赤ちゃんを育てるから預からせて」と申し出る。彼は彼女が授乳する姿を見て自分の幼い時を思い出す。瀕死の病の床にあった母が「近くに来て」と声をかけられ近寄ると、父がツォツィに行かせまいと暴力を振るう。それどころかツォツィが愛していた犬を撲殺してしまう。彼はそれを見て二度と家に戻るまいとして、土管でストリートチルドレンの生活を始める。授乳している姿を見て、ふとそんな母の優しさを思い出す。そしてくだんの女性が、犯罪がらみで奪った子どもであることを知り「赤ちゃんをわたしが両親に返して来るか、あなたが返してきて」と迫られ、ツォツィは自分で育てられる筈もないことを知る。そして赤ちゃんは親の元で暮らすことが一番幸せなのだと考える。それを思ったとき彼の目からは凶暴な輝きは失っていたい。そして紙袋に赤ちゃんを入れて、高級住宅の両親の元に近づくと銃を構えた警官隊に包囲されてしまう。
▼昨日の報道によるとアムネスティの試写会で小学生が招かれた。ところがアイスピックによる殺人シーンがあったので、配給会社に映倫にR12指定にして欲しいと依頼したが、「一度決めたものはダメ」と断られたという。あの程度で残虐ならば、TVのサスペンス劇場だった見ることができなくなるだろう。映画の中のあちこちの場面では「エイズとHIVの被害」を訴える公告が南アフリカの町に溢れている。初日六本木ヒルズに行ったら、ハーブティと男性用避妊具が一個プレゼントとして配られた。後者はわたしには必要ないので欲しい方に差し上げる。

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