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April 20, 2007

◇「パラダイス・ナウ」を見る

▼本日午後8時はメルマガ送信日です。殆どの原稿は集まっていますが、まだの方はお急ぎお送り下さるようお願いいたします。
▼携帯を替えたのは、家族に「どこに旅行してもいいが必ず連絡の付く海外携帯を持参してくれ」と言われた事も一因となっている。先日も現地のホテルに電話したのだが、英語で応答されたので切ってしまったという話だった。あそこは「japanes staff preas」と言えば良かったのだ。
▼◇「パラダイス・ナウ」先日深夜放映された「イラクの米軍ER」(NHKBS1)を見た。これは元フセイン大統領の専用病院だったものを米軍が接収して、米兵専用の救急病院にしたものだ。運び込まれて来る兵士たちや、病院関係者は口々に「酷い」を連発する。しかし彼らが空爆したり、銃撃して殺しているイラクの人々をここでは手当したり介護したりすることはない。あくまでも米占領軍の為の施設なのだ。殺す側を正当化し殺される側を無視する立場を貫いている番組だった。
▼さて映画の舞台はパレスチナである。このブログをお読みのみなさんはご説明しなくてもイスラエルという国の成り立ちをご存知のはずだから、それは省略する。つまり一言で言えばパレスチナという国があったところに、いきなりイスラエルという国を占領して作った。そして前から住んでいたパレスチナの人々の土地を取り上げ、世界中に住んでいる裕福なユダヤ人の金持ちから集めた資金で、この国は反映している。そしてその国を維持するため、連日のようにパレスチナを空爆して殺害を続けている。さらにイスラエルを通行するパレスチナの人々を「検問」によって苦しめる。舞台はヨルダン川西岸の町ナブルス。時々イスラエル軍の発射するロケット弾が飛んでくる。幼なじみのサイードとナブルスは自動車修理工場で働いているが、客の対応が悪かったという理由でナブルスは解雇される。この地域は貧しい人々が爪の先に灯りをともすようなつましい暮らしをしている。父がいないサイード一家も母が何とかやりくりして、兄弟を育ててきたのだ。仕事がなくなったら喰う手段を失うことになる。つまるところこの絶望的な苦しさの根元はイスラエルの占領にある、と彼らはずっと考えてきた。
▼あるとき自爆志願者をつのるパレスチナ人の組織と接触する。熟慮のすえ、二人はこの自爆に自分たちも参加しようと意思を伝える。そして家族にはいつもと同じように接触するように命令される。そして気が変わらないように監視員も24時間ついている。実行の前夜彼らは髭を剃り、全身を清められる。そして結婚式に出席するというスーツ姿で、ビデオカメラに向かいM16を構えて最後の決意を語る。わたしはこれから「神と同じところに行くのだ。だから悔いはない」と。
▼隔絶されたコンクリートの壁を越え、網を切ってイスラエル人の手引きで占領地に向かおうとしたとき、連絡の手違いで二人はちりぢりバラバラになってにげかえってくる。彼らの胴体には大きな爆発物がテープで留められており、自分で外そうとすると爆発してしまう。ナブルスはアジトに逃げ帰るが、サイードは道に迷ってしまう。組織はサードが裏切ったとしてアジトを撤収してしまう。必死で探すとサイードは実家や修理工場に立ち寄った事がわかる。その間サイードはガールフレンドの言った言葉を反芻する。道はこれしかないのか?他に方法はないのか?自爆は報復を招くだけなのか?サイードはバス停やバスの中で何度も自爆装置のヒモを引こうとするが、子どもたちや老人がいるのでそのたびにためらう。神との同化は美しいが犠牲者を出すことが人間の幸せにつながることなのかを自問する。
▼新しいアジトに戻り、再び爆弾を身体に巻き付けてテルアビブに潜行させられる二人。果たして二人の運命はどうなるのか?単に自爆攻撃を美化するのでもなく、人間の尊厳を守ることとは何なのかを考えさせられる。サイードはガールフレンドに「俺は死んで天国に行くんだ」というと、彼女は「バカね天国なんかありゃしないわ。もしあるとするなら、ここよ」と言ってサイードの頭を突く。つまり「パラダイス・ナウ」なのである。恵比寿東京都写真美術館で。27日まで。

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