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May 30, 2007

◇「殯(もがり)の森」を見る

▼昨晩NHKハイビジョンで午後8時から「殯の森」が放映されたので見た。おそらく日本では単館上映以上には広がらない内容である。
▼奈良県の山間部の葬式の行列が執り行われいる。ちょうどわたしの田舎の昭和30年代の様式に則っている。旗やダイコンの台に竹の串が突き刺さっている。そしれ稲の生育の様子からすると7月か8月である。こういう日本の原風景はカンヌの出品する映画には欠かせない。ハリウッドと違ってカンヌで受賞するにはこういうオリエンタルな、ノルタルジックな風景は絶対欠かせない。つまりヨーロッパ人にとって理解不可能な宗教とエキゾチックないかにも日本らしい風景が必要である。
▼そして民家を改造したグループホーム「ほととぎす」に集う老人たち。そこに寺の坊主がやってきて33回忌の意味を説明する。つまり今までは地上にさまよっていた故人の魂が天に回帰するというのだ。そこに入所しているシゲキは75歳くらいで認知症である。習字をしていては隣に座っている介護士のミチコの書いている文字を墨汁で汚し、33年前に死んでしまった妻の名前に書き換える。あるいは木に登っては飛び降り、茶畑に逃げ出していく。そしてホームの許可が出て妻の墓参をする事になる。途中ホームの軽自動車は落輪して、ミチコが救助を求めている間に逃げ出してしまう。「ここにいて」とクギを刺しても出て行ってしまうのは、父の介護で何度も経験している。西瓜畑に逃げ込んだシゲキは収穫の終わった畑から西瓜を一個失敬して逃げる。そしてミチコに捕まる寸前に落とした西瓜は割れてしまい、やむを得ず二人はそれを分け合って食べる。
▼一つのものを分け合って食べるという行為はセックスにもにて刺激的であり、二人の距離を狭める。そして「墓」を探して山に入るが迷ってしまう。それどころか鉄砲水に遭い、二人は遭難してしまう。二人は濡れた着衣を乾かし、焚き火と素肌になって身体を温めあう。翌朝すっかり晴れた木立の間で二人はダンスを踊って親密さがましていることが分かる。
▼そして大きな木の下に辿り着くシゲキとミチコ。その下で太い木の枝を使って穴を掘り出すシゲキ。ミチコの手には妻の使っていたオルゴールが手渡される。そして重いリュックから取り出したのは、1973年から33年にわたって書きつづられたシゲキの日記だった。日記を埋め終わったとき木立の上空を飛ぶヘリコプターの音。捜索しているのか?何だろう。ふとその瞬間、黄泉の国を放浪していたような気持ちになっていた二人は現実に帰る。
▼そして最後に「殯」の意味が「敬っていた人の死を悼むこと」というテロップが出る。

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