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May 02, 2007

◇「クイーン」を見る

▼打合せのため都内に向かう電車に乗ったら目の前に座っていた40歳前後の女性に席を譲られてショックだった。それほど老けた格好をしていたわけでもないし、疲れてもいなかったので、「まだ若いですから」と答えると相手の女性は「すみません」と盛んに恐縮していた。
▼夜中にホテルを予約する夢を見た。決済の段階になってカードが必要だと言われた。そこで急に現実の世界に戻り、起き上がりバッグの中にあるサイフを探し始める。だが「ああ夢なのだからカードはいらないのだ」とふと正気に戻る。起きたついでにトイレに行こうと思って台所を通過すると米が水に漬けたまま放置してあることに気づいた。我が家では米をとぐのはわたしの役割分担である。眠気でフラフラしながら米をといだが、水の量を1合分間違えて増量してしまった。そのためその日のご飯はぐちゃぐちゃで食べることができなかった。
▼「クイーン」ご存知のようにイギリスのエリザベス王女の事だ。たしか彼女はわたしが小学校高学年の時、ヒラリー卿がエベレスト登頂成功と戴冠式が行われた。トニー・ブレアイギリス首相が就任の挨拶でバッキンガム宮殿を訪れる。彼は労働党出身だから女王の歓待されないだろうと、多少びくついて妻を同伴して宮殿に行くが、案の定素っ気なく扱われる。しばらくするとダイアナ王女の事故死が首相と女王のところに報告が入る。王子はすぐにでも遺体を引き取るためにフランスに行こうとする。だがエリザベスは「国民が国費の無駄遣いだからと批判する」事を理由に特別機を利用させない。その場に居合わせた皇太后は、「非常用の自分専用機を使えば良い」と言うが、それも無視される。エリザベスは民間人のダイアナを心底嫌っているのだ。
▼遺体は帰ってくるが、クイーンご一行は別荘地に鹿狩りに出かけてしまう。新聞や国民はクイーンたちの行動を一斉に非難し始める。首相になったブレアは労働党だが、これをほおっておくと、首相批判につながると機敏に反応し始める。頑として動かないエリザベスとエジンバラ公(よくアメリカ大統領を演じる俳優だが、まさにそっくりさん)と皇太后らは「ここで国民に頭を下げたら自分たちにの立場はますます悪くなる」と聞く耳を持たない。しかしブレアはスタッフ一同と知恵を絞る。そして新聞と世論を使ってクイーンに圧力をかけることが一番早道だと感じ取る。
▼ブレアの最後の電話、「このまま行くと国民の4分の1は王位が継続する事に反対、という世論調査が発表される」を受けたクイーンは自ら4WDを駆って狩りに行っている夫に連絡をしにいく。途中巨大な角を持った大鹿に出会う。思わず彼女はその雄々しい姿に見とれて「逃げなさい」と囁く。エジンバラや皇太后はクイーンがダイアナの弔問客の前に立つことを嫌うが、ブレアの説得を彼女は受け入れる。そしてブレアのスタッフの書いた原稿をTVの前で読み上げる。スタッフが原稿の「訂正箇所」指摘して「よろしいですか?」と聞くと「断れる立場にあると思う?」とあっさり告げる。クイーンのメッセージは国民の多数の共感を呼び、またブレアの国民からの支持も得られ彼の思惑は成功する。労働党政権もまたエリザベスの力を借りて、イギリス国民の中に定着する。そして2度目の表敬訪問ではブレアはすっかりエリザベスのお気に入りとなって長時間の散策に行動を共にする。「仲良き事は美しき哉」持ちつ持たれの関係でめでたしめでたし。これでユナイテッド・キングダムも安泰だ。
▼こんな映画がなぜ朝から満員になってしまうのか。新宿朝10時半が満員で入れず、日比谷11時半のに、1時間前について残7席で最前列に座ることができた。

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