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May 01, 2007

◇「バベル」を見る

▼昨晩NHKBSで「悪魔の手まり唄」を放映していた。わたしは横溝映画には興味がないので、地上波の路線バスの規制解除が何をもたらしたかを見ていた。「手まり唄」の後半にゲイリー・クーパーとデートリッヒの「モロッコ」の最後の場面が出ていた。つまりハイヒールを脱いで素足で砂漠の外人部隊を追っていくという有名なシーンだ。カンボジアでも熱くて素足でプールサイドを歩くことなどできなかった。ましてサハラ砂漠を素足で歩くことなどできるはずもない。あれはお話しの世界だ。
◇「バベル」その荒涼たるモロッコを走行するツアーバスが何者かによって狙撃される。たまたまぎくしゃくした夫婦関係を修復しようとしていたブラピ夫妻が乗っていた。使われたライフルはウィンチェスターM270。撃ったのはモロッコの山岳地帯に暮らしている少数民族の少年だった。撃たれたバスに乗っていた観光客は「テロリストに違いない」と大いに慌てる。小さな村で病院などありはしない。やっと電話のある場所に行って大使館と連絡をとるブラピ。妻(ケイト・ブランシェットわたしは、彼女が大好きなので出ている映画は全部見ている)は右腕の付け根を貫いていて出血多量の重体で何とかしなければならない。モロッコのガイドは必死に彼に協力しようとするが、同乗したアメリカの観光客は、「危ないからすぐここを脱出しよう」とブラピ夫妻を残して、バスを発車させてしまう。
▼場所は変わってメキシコ国境にあるブラピのアメリカの家。乳母は夫妻の4,5歳の二人の子どもを預かって留守を守っている。ところが夫妻は予定通り帰ることはできないから、もう一日居残って子守をして欲しいと頼み込む。しかし乳母は子どもの結婚式でどうしてもメキシコに帰りたい。そこで甥に迎えに来てもらって子どもを二人連れて里帰りする。ところが帰るとき検問所で厳しい検問にあう。ところが飲酒運転をしていた甥は見つかるのがイヤで検問を突破してしまう。砂漠で取り残された3人。乳母は子ども二人を残して助けを求めに行くが、そこで幼児を放置したと逮捕されてしまう。
▼もう一つのテーマはファザコンの菊池凜子。彼女は聾唖で高校のバスケットボールチームメイトと遊び歩く毎日だ。チームと言われる男たちとラリったり、ディスコ(この場面がチラチラして30日名古屋で観客が吐き気を催す事件が起きた。そりゃあそうだ。わたしは、あのシーンでは目をつむっていた。)に入り浸り。母親は自殺してしまい父親との関係もしっくりいかない。その憤懣を画面に出てくる年上の歯科医、刑事にぶつけようとする。ただ東京のこの話は観客動員と菊池のぬぎっぷりの良さ、という話題を作るためにわざわざ付け加えたという以上の意味はない。
▼つまりある意味では「シェリタリング・スカイ」のように永遠に分かり合えない夫婦と異民族、そして親子関係というものを白人の目から描いたという事になろうかと思う。銃の事を書くと余談があらぬ方向に行ってしまうので、この辺で止めておく。

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