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July 01, 2007

◇「サイドカーに犬」を見る

◇「サイドカーに犬」質問を投げかけられて言いよどんでいる人は善良であろうという人だ、というのはこの映画に登場する洋子さんの考えである。不動産屋に勤めている主人公薫は小学校4年、20年前のことを想い出す。それは中古車販売をしている父と、父に愛人がいることが分かって家出する直前の母がいる。台所をせっせと磨き上げ母はいなくなってしまう。それと引き替えに妙齢の女性ヨーコ(竹内結子)が、緑色のドイツ製ドロップハンドルの自転車に乗ってやって来る。夕飯を作りに来るという約束らしいのだが、冷蔵庫に何もないことを知ったヨーコは薫を連れてスーパーに行く。「何で好きな物を買って良いよ」というヨーコに薫は「麦チョコ」という。家に帰ってヨーコは薫とその弟にカレー皿に「ほれエサ」と言って買ってきた麦チョコを与える。
▼ヨーコの開けっぴろげの態度に薫は次第に心を開く。薫が自転車に乗れないことを知ると、「自転車に乗れると世界が変わるから」と神社の空き地に連れて行って自転車の乗り方を教えてやる。父の仕事は盗難プレートを付け替えて車を売る仕事で、警察に睨まれたり、資金力不足で次第に立ちゆかなくなる。父はヨーコに一枚の当たり馬券を渡す。薫はそれが手切れ金であると感じる。薫はふと以前家族でおんぼろ車に乗ってドライブしたとき、後ろから追い抜いて行ったサイドカーに犬が乗っていた事を想い出す。あの犬には自由な意思があったのだろうか?それともただ買い主の意思で隣に座らせられていただけなのだろうか?
▼馬券は彼女が立て替えていた10万円以上の23万円にもなる。ヨーコはそれを軍資金にして伊豆に夏休みに行こうと薫を誘う。降り立った海水浴場はどこも満員だ。たまたまソフトクリーム屋の家に1泊3000円で泊めて貰うことになる。そこのお婆は足が不自由だが、ヨーコが愛人で薫がその子どもであることを鋭く見抜く。酒の肴は海岸で取ってきて亀の手だ。ヨーコは幼いとき、この薄気味悪い亀の手を食べることができなかったことを薫に語り聞かせる。一泊の伊豆旅行を終えて自宅に戻ると家出していった妻が戻ってきて修羅場を迎える。父は廃業し、薫は山形の実家に帰る妻が引き取ることになる。薫の耳には「嫌いなものを好きになるのは簡単だけど、好きなものを嫌いになるのは難しいこと」という言葉と、緑のドロップハンドルの自転車だけが、鮮やかな記憶として残っている。
▼竹内結子が演じるヨーコのまぶしいくらいの美しさに、わたしはスクリーンに目がくぎ付けになってしまった。銀座シネスイッチ。

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