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July 17, 2007

◇「レッスン!」を見る

▼昨日書いた作家のS氏と12年前に「ホワイト・バッジ」で偶然一緒になったとき、彼は「Kさん(わたし)セント・オブ・ウーマン」をみましたか?作りは乱暴だけど面白かったですね」と話かけてきた。アル・パチーノが盲目の元軍人を演じていて、ホテルのロビーでコンチネンタル・タンゴを踊る場面が印象的だった。タンゴとはセックス以上にセクシーでかつエロティックである。もっともこれは美しくかつ流麗な男女が踊ることが条件で、「仁義なきシリーズ」で、やくざの親分を演じる小林稔侍がクラブで踊るシーンはいただけない。アメリカ映画ではこういう歌やダンスをテーマにした手に負えない学生たちを「善良な学生」に改革するがテーマになった作品がいくつかある。「陽の当たる教室」、「スクール・オブ・ロック」、名前は忘れたがメルリ・ストリープヴァイオリンを弾く作品などに共通する。
▼この映画の主人公アントニオ・バンデラスはダンス教師である。自分の持っているダンスの力を何とかボランティアとして役立てたいとして高校に乗り込む。この荒れた学校では日本の東京某区の教育委員会ではないが、管理教育がまかり通っていて、生徒たちはそれに反発している。アントニオに任されたのは週に一度の自習の時間だった。生徒は勉強せず、ラップをやっているだけ。アントニオは彼らに礼儀とマナーをきちんとすれば女性にもてるようになるかも知れないと説得する。少々分かりずらいのだが、生徒たちの中にも家族関係や、致死事件で兄弟が殺されたりして反目が蔓延している。だれも生徒が聞いていなくてもアントニオは授業をし、ダンス音楽の基礎を興味を深く説明していくと生徒たちは目を輝かせる。その一つがアントニオ・バンデラスと美女のめくるめくようなタンゴの実習を見せることだ。生徒ならずも観客も息を呑んで見とれてします。この2,3分のダンスは凄い。これを見るだけでも価値がある。ちょうど「タンゴレッスン」のイントロみたいだ。
▼それで近くダンスのコンテストがあるから応募しようとたきつける。参加費は200ドル必要だが、それはアントニオが「ボクが何とかしよう」と言い切る。それから猛レッスンがはじまり、頑固頭の教師は「そんな事をしても学力は上がらないから授業にすべきだ」と言う。さらにPTAからのクレームの出るが何とか解決する。
▼そして晴れの舞台のコンテスト当日。みんな兄弟や仮衣装で着飾って登場する。5000ドルの賞金がかかっているから、プロまがいの大人たちも登場する。採点ではその大人の方が優位に立つ。それは生徒たちが、3人一組で踊ったためルール違反ということで減点失格になってしまったのだ。当然と言えば当然なのだが、優勝した女性は点数を半分に分けて引き分けにしようと提案が入る。生徒たちは大喜びで、会場で即興のラップで踊り狂うというもの。エンディングロールでこれは実際にあった事にヒントを得た作品だと出てくる。そして同じ教育指導方法はアメリカ120の学校で実践されているという。しかしストーリーの中に出てくる、複雑な家族関係やかっぱらいの見張りをしてカネを稼ぐ生徒。売春をして生活している母などの問題はそのまま放置されている。つまるところアントニオの個人的な努力は評価されるが、なぜ貧困なのかにまったくメスが入れられていない。この辺は最初い書いたアメリカのダンスや音楽を使った教育実践がどのような成果を上げているのか、分からないので、「結構ですね。良かったね」としか言いようがない。枝葉の部分が多かったので、ダラダラしてせっかく良いテーマだったのに盛り上がりに欠ける。

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