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August 13, 2007

◇「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」を見る

▼先日旅行した石川県能登にある携帯の電波も届かない、ある小さな村の話だ。
◇「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」道路に座っている黒猫がダンプに跳ねられそうになる。しかしネコは助かったが、それを救おうとして老夫妻が揃って跳ねられて命を落とす。場面はその告別式と、それに間に合わなかった長女澄伽(佐藤江梨子)はタクシーから降りると「3360円」と怒鳴って実家に戻ってくる。あくまでもお人好しの兄嫁の待子は「ハイハイ」と言ってサイフを持って払いに出て行く。実は澄伽は売れない俳優のタマゴとして兄の仕送りを受けて上京していたが、借金に追われ、プロダクションには「生意気だ」と言われて舞い戻って来たというのが実体だ。
▼そして兄和合宍道(長瀬正敏)は炭焼きをして生計を立てている。さらに澄伽の妹清深は高校生で密かにマンガを描き続けている。澄伽は何かというと妹が自分をテーマにしてマンガが雑誌に紹介されて、過去を暴露されたから売れないのだと、そればかりを根に持って妹をいじめる。つまり澄伽はジコチュウで動き、エゴ丸出し人間なのである。人間関係を若干説明すると和合家は宍道は父の連れ子で、長女、次女とは血がつながっていない。待子は新橋のコインロッカーで生まれた過去があり、親なし子として育てられ食品会社に勤めていたが、結婚紹介センターのお見合いで宍道と結婚した。しかし結婚から数ヶ月経っているにもかかわらず、待子を抱く気配がないのが妻の心配のタネである。
▼澄伽はプロダクションに連絡をしようとするが携帯の電波が通じない田舎なので大いにむくれる。妹にパソコン持っていないかと聞くと「そんなモノはない」という返事で村の雑貨屋に行けば30分千円のものがあるというので出かける。店番は高校時代に「交友」していた相手で「10分なら300円でいい」と言ってくれる。澄伽はTVで見た新作の脚本を書いている、新人映画監督の住所を調べて手紙を出そうとする。その文房具店では真っ赤な便せんと封筒を買う。昔の相手は「カネに困ったらいつでも相談にのるからさ」という声をかけてくれる。最初のうちは監督から色よい返事が来るがしばらくすると途絶えてしまう。兄嫁は澄伽の無理難題をすべて聞き入れるが、宍道は「今後仕送りができるかどうかちょっと待ってくれ」と返事する。
▼兄は炭焼きの仕事から帰ってソーメンを食べているが、タレには何も入れない。ところが妻は「薬味を入れた方が身体によい」と無理遣りタレに薬味を振りかける。「いらないと言ったらいらないんだ」とタレを投げ飛ばすとそれが待子の目のコンタクトの間に入って入院してしまう。そしてその間に宍道に姉の澄伽が「私との約束を守っている?」とカッターナイフを喉に突きつける。そして兄と澄伽の「約束」とは何か、妹の清深は目撃してしまい、「これをネタにまたマンガが描ける」とほくそ笑む。そしてその作品がマンガ雑誌の100万円の懸賞を見事ゲットする。清深は自分の道は自分の力で切り開くのだと実感する。そして勇躍バスに乗り込み動きだすと、姉の澄伽がもの凄い形相で追いかけて来る。姉にいじめられ「ごめんなさい」を連発する妹が一番したたかだったという話。
▼木谷有希子原作の作品を実写映画化したもの。TBSラジオの金野某映画評論家が今年の日本映画ベスト1と言っただけある、最高に面白いブラックユーモアな作品でした。そういうのに興味がない方にはお勧めしません。イヤぁーこういう澄伽キャラの人はどこにも現実にいるモノですね。渋谷シネマライズ。

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