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October 07, 2007

◇「サウスバウンドを見る

Kamome特急かもめ
▼昨晩は午後9時から地デジBS1で5年ぶりに開かれた「チャイコフスキーコンクール」審査風景を2時間にわたって放送していたのでついつい最後まで見てしまった。かつてヴァイオリンは日本の独壇場を言われていたが、久しく優勝者は出ていなかった。前回から5年ぶりになってしまったのは、資金不足だった。今年トヨタが出資して費用の3分の1の2億円を出して開く事ができた。画面を見ていると「TOYOTA」の文字がチラチラする。そもそもこのコンクールはレーニンの生誕記念として出発したものなのだが、優勝にまつわる裏話は色々あった。かつては政治権力、近年ではカネやコネが支配するといわれ続けていた。最後に中村紘子が出てきて説明していたが、出演者に余りにも長い時間集中して弾かせることに、負担になるのではと疑問を呈していた。そのためいつも有望視されていた演奏家が落ちてどんでん返しが多いと指摘する。まあそうはいっても審査の緊迫感が伝わってきて、手に汗を握ってしまった。
▼◇「サウスバウンド」boundには色々な意味があるが、この場合「南向けて」というような意味だろうと思う。台東区浅草に住む上原一郎(豊川悦司)の所に社会保険庁の職員(吉田ヒデ子)が滞納になっているカネを集金の説得にやってくる。「国民の義務を果たして」という吉田に、一郎は「そんなに言うなら日本人ヤメちゃおう」と言い出すしまつ。そして妻(天海祐希)はあまり美味しくない喫茶店を開いて、たまに詩の朗読会場に提供している。あるとき怪しげな男が「昔○○女子大のジャンヌダルクと言われていませんでしたか?」と妻の身元を調べる風な様子だ。小学校6年生の長男が修学旅行に行く金額が3万8千円もするので、「それだけあればグアムにも行ける。学校は業者と癒着しているのではないか」と校長に校長に会わせろと単身学校に乗り込んで阻止される。これで分かるとおり夫婦は昔過激派だったようだ。一郎は三里塚闘争にも参加した様子がある。妻はセクト間の裏切りにあって相手を包丁で刺した過去を持っている。そして息子の二郎は友だちが中学生から「カネを持ってこい」という脅しに合っているのを知り、相手の家に押しかけて怪我をさせてしまう。校長は事なかれ主義で親と子どもを家裁の命令を使って引き離せようとさえする。
▼東京には居づらくなって母は「沖縄の西表島に移住しよう」と宣言して、二人の子どもたちはイヤイヤついていく。沖縄は一郎の先祖が住んでいたところで、ここでも革命運動の闘士だった過去がある。西表島の人たちはかつての学生運動の闘士がやってきたので大喜びする。そしてグータラ亭主だった一郎は、農耕にせっせと精出すので子どもたちもその変貌した姿にびっくりする。だが二人の子どもたちは転出届けを出しておらず、しかも古民家を改装して住みだしたが、「不法占拠」だとされる。そこに老人ホームを造ろうとする東京の観光業者が乗り込んで来る。西表の人たちは優しく、年配の女性校長の説得に一郎もついほろりとなって、子どもたちを学校にやらせることに同意する。開発業者は最終通告をして重機でバリケードと家を排除しようとする。夫妻は昔とった杵柄とばかり角材をもって権力と対決しようとする。
▼こう書いてしまうと簡単なのだが、前半とかったるい調子から後半は、心理描写と彼らの過去が復活して急速に盛り上がる。とくに松山ケンイチ演じる地元巡査がとってもうまい。本署から派遣された警官隊と、開発業者の対決は刻々と迫る。わたしの場合このシーンは、涙なしみは見ることが出来なかった。ウルウル。

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