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October 30, 2007

◇「自虐の詩」を見る

▼普通わたしたちが家賃を滞納すると、住んでいる場所の立ち退きを迫られる。もしその相手の示した金額に不服なら供託金という方法で、旧家賃を納めておいて交渉するのが当たり前だ。この事例は昨日の朝日1面に出ていたアメリカ大使館の例である。1ヶ月250万円を10年間払っていないという記事で明らかになった。詳しくは天木直人氏のサイトをご覧頂きたい。現実的な世界ではアメリカの日本大使館の家賃を払わず、差額をそこからさっ引くという解決方法もあると思う。今のアメリカに対して卑屈な日本政府には、そんな事はおそらく望むべくもなかろう。
▼そして今朝の朝日を見ていると守屋元防衛政務次官の国会喚問を職員はテレビで見ていたと報じている。たしか昨日のNHKは午後1時から中継をしていたはずだ。通常の会社においては昼休み以外テレビを見ることは出来ない筈なのだが、こんな所にも防衛省の「ゆるさ」が出ている。昨日正午のNHKをスイッチを入れたら大リーグの中継を延々とやっていたのでチャンネルを間違えたかと思ったほど、異常だった。
▼◇「自虐の詩」30年ほど前に「若者たち」という映画があって4人兄弟(田中邦衛、橋本功、山本圭、佐藤オリエ)がつましい暮らしをしていた。そして長男の田中は何か気に入らない事があるとちゃぶ台をひっくり返すのが得意だった。この自虐の詩でも夫イサオ(阿部寛)は妻幸江の言う事に一々腹を立ててちゃぶ台をひっくり返す。おかずが悪い、ぐちを言うなどetc,etcそれに一計を案じた幸江は畳にちゃぶ台をくぎ付けするが、イサオは机ごとひっくり返してしまう。そんなDVな夫ならば離婚してしまえばよいではないかと思うのだが、別れられない理由が次第に分かってくる。
▼幸江は気仙沼の出身で母親は分からない。父(西田敏行)と二人で住んでいるが本当の父親かどうかは良く分からない。家は貧しく弁当を学校に持っていくが、梅干し一つなのでみんなとは離れてこっそり、同じく貧しい友人と食べている。たまたま誘われて学友と一緒に食べるのだが、みんなはおかずを逸品ずつ幸江に分けてくれる。そのことを貧しい友人は「裏切った」と怨んでいる。そして高校を卒業した後、友人と涙のわかれ上京する。しかし学歴のない幸江にとって身を持ち崩すのに時間はかからなかった。
▼買春に麻薬漬けで街を流しているとき、極道のイサオが偶然通りかかって一目惚れする。そして必死に立ち直らせようと努力する。それどころか彼女にプロポーズし、極道の道からすっぱり足を洗うため、右の小指を詰めて決意を示す。だがボロアパートで暮らすうちに立場は逆転してイサオはヒモになってしまう。そして幸江はラーメン屋でバイトをして生計を立てる。しかしイサオはその場所にも出入りして「カネ」と言っては財布から、幸江がせっせと稼いだカネを持ち出してパチンコ屋に入り浸る。
▼そんなイサオを昔の極道に戻そうとする親分(竜雷太)はすごみを利かせて「お前は親も極道だったのだから、親父のように生きるしかない」と諭す。だがイサオは何とかまっとうな生き方をしようとして交通整理のガードマンの仕事を探してくるが、通行客と喧嘩をして一日と保たない。そして幸江が小学生の自転車を避けようとして橋から落下して、妊娠中の身体で病院に運び込まれたとき、人が変わったように病院に血相を変えて駆け込む。映画のストーリーはこれとは逆の作り方になっていて、見ているものをぐいぐい引き込んでしまう。街の底辺で貧しくともひっそりと肩を寄せ合って生きていく、元極道夫婦をすっぴんの中谷美紀とパンチパーマの阿部寛が好演する。

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