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November 19, 2007

◇「君の涙ドナウに流れハンガリー1956」を見る

T54tankT54tank in Vietnan
▼ハンガリー動乱については05年6月27日にこのブログで書いているのでご覧頂きたい。一言で言うならば、ソ連による第二次大戦の「東ヨーロッパの解放」は、東欧諸国にソ連の領土拡大政策を固定化させるものとなっていた。つまりスターリンは、緒戦での敗退の「反省」から、自国の国境を奥深くに持ってこようとした。そのために東欧の衛星国を増やす事がその目的となったのだ。そしてこの事件は長い間「ハンガリー動乱」として日本の左翼陣営の中で固定概念化されていた。なぜかというとソ連は社会主義国のシンボルであり、祖国ソ連を守ることこそが、目的化されてしまった。ハンガリーの民主化要求運動は、工場の自主管理と、労働組合の結成要求に始まり、言論の自由からあらゆる事柄を自分たちハンガリー国民の手で決めたいという要求から出発したのだ。このような戦いであったにもかかわらずソ連が崩壊する89年まで、「動乱」と呼ばれ続けて来たのだった。
◇「君の涙ドナウに流れハンガリー1956」1956年のハンガリー最初は水球の激しい国際試合の熱戦が繰り広げられている。ハンガリーとソ連である。試合は審判がロシア人という事もあってソ連選手が相手の水着を剥ぎ取る、ハンガリー選手を水に沈めるなどの反則に一切目をつむる。そして減点を頻発させ、ハンガリーは屈辱的な敗北を喫する。そして飛行機がブタペストの空港に着くと秘密警察AVOの役人が待っていて、ソ連選手に暴言を吐いた五輪代表選手のカルチが引っ立てられて行く。そして長官の前でソ連に対する反抗的な態度は止めるようクギを刺される。町を歩くとあちらこちらでバリケードが作られたり、改革派が首相に引っ張り出そうとしている、ナジの演説を聞きに行こうという動きが目立っている。そんな時カルチは学生運動家の美人女性ビィキに惹かれる。どうしても話をしたい、という気持ちから学生集会に着いていってしまう。
▼そして武器を持って立ち上がろうというアジ演説に同調して、水球や止めて彼女と一緒に行動を共にする。最初広場には1万人ちかい民衆がナジの演説を聴こうとして集まっている。集会では尖塔に立つ、ロシアの象徴である「赤い星を消せ」というスローガンが響き渡る。そして星の明かりも消えるが広場の明かりも消される。そして屋根の上から一発の銃声が響き渡る。それを合図にあちこちの屋根から銃が民衆めがけて発射される。(後に、歴史的な評価で、これは秘密警察による挑発の発砲だとされる)
▼這々の体で自宅に逃げ帰るカルチとヴィキ。両親にヴィキを紹介するカルチだが母親はこれ以上息子を運動に引っ張り込まないで欲しいと懇願する。二人はベッドを共にするのだが、その前にヴィキは「言っておきたいことがある」という。それは秘密警察の男も身体を許せば、行方不明になっている両親を帰すと言ったが、約束は守られなかったというのだ。ヴィキが告白してもますますカルチは彼女が好きになる。しかしヴィキは翌朝カルチが眠っている間にPPSh(通称マンドリンという軽機関銃、映画ではギターと言っていた)を2丁担いでそっとカルチの家を出て行く。
▼ソ連軍はT34-84やT54-55戦車を繰り出し激しく攻撃をしてくる。この点「存在の耐えられない軽さ」でフランス軍戦車で誤魔化したものより、こちらは良心的な作りである。しかしT34戦車の動いている姿には感動した。(実際6両探して撮影に使ったという)そしてソ連軍は二度まで「ハンガリーの自主性を尊重する」と撤退する様子を見せる。しかし実際にはミコヤンを送りこんで作戦を立て直していた。そして民衆の反撃は火炎瓶で戦車には刃が立たない。そして追いつめられる民衆蜂起。学生の一部指導者は「アメリカが介入するから2日間持ちこたえれば大丈夫」とアジテーションを飛ばす。しかし実際のアメリカは当時第二次中東戦争が勃発して、それどころではなかった。蜂起した学生や民衆は一つひとつ狙いうちにされ逮捕され、あるいは殺されていく。当時亡命者は25万人にも上った。
▼そして水球選手に戻ったカルチは空路オリンピック会場のメルボルンへと向かう。そして今までの政治的な屈辱を果たすべく、全力を上げてトップ2へと勝ち進み、宿敵ソ連との決勝戦を戦うことになる。そして母国に残ったヴィキはAVOの長官の前に引っ立てられ、「裏切りものの名前を誰でも良いから書くよう」にとペンと紙を渡される。彼女は「スターリン、マーチャーシュ(ソ連のカイライ首相)とAVO長官の叔父さん」と書き殴打され、刑場に引っ立てられていく。

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