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February 19, 2008

NHKハイビジョン「小田実:遺す言葉」を見る

▼今朝一番のニュースは千葉県野島崎でイージス艦「あたご」がマグロ漁の漁船と衝突、したとうい事件だ。ニュースによればハワイで訓練をした帰りということだ。イージス艦は人を殺す訓練はしても、助ける訓練はしていなかったようだ。これはむかし海上自衛隊の潜水艦「なだしお」が釣り漁船と衝突したときも、ジッと見ているだけで隊員は誰一人海に飛び込んで救助にあたる者はいなかった。軍隊とは「上官の命令がなければ一切動けない」そういう所だと言えばそれまでだが、きょうの場合同僚の漁船は必死に捜索をしているようだ。
▼読書をするときのメガネが重くてイヤになったの行きつけの眼鏡屋さんに相談にいった。「もっと細見の携帯に便利なメガネがあるでしょう」というと、「今お持ちのメガネを加工してこのフレームに入れましょう」と言ってくれた。こうでなければいかん、世の中リサイクル時代である。
▼日曜日は近所の下町、言わば場末の映画館に「エリザベス」を見に行った。他でも上映していたが、時間帯があわなくて仕方なく、ここにした。ところがわめきながら途中から入ってきたり、バサバサとポリエチレンの袋を手探りしながら弁当を食べる人、後ろの席を確かめないで座高の高い人が前に座ったり散々だった。だから同じ映画でも日比谷や丸の内に行くべきという事になってしまう。ちょうど一週間前の「ロンドンハーツ」で6人の女性タレントが「街からイケメンを捜してくる」という番組をやっていた。誰だったか「錦糸町に行く」と言ったら会場から「エーッ」という落胆とも聞こえるどよめきがした。まぁそういうイメージが強いのである。
▼昨日の朝一番最初に来たメールが「母べえ」がベルリンで入賞しなくて残念というのだった。出品することは誰でもできるが、ベルリン映画祭向けの映画にするには、現代にあったそれなりのテーマにすることが必要であろう。今朝の朝日を見ると入賞しているのは現在のテーマを扱った作品のようだ。もっと演技力のある女優を使って、例えばイラクに派遣された自衛隊員の留守家族なんてテーマだったらもっと受けたかも知れない。しかし日本アカデミー賞で「それでもボクはやっていない」が数々の賞を受賞したのは、昨年の日本映画ベスト10に入らなかったが、アカデミーの審査員だけははまともである証左であろう。
▼日曜日夜にNHKハイビジョンで小田実の「遺す言葉」(再放送)という彼の遺言とも言える番組を放映していたので録画して見た。主として小田の最後の場であった聖路加国際病院のベッドから語りかけていた。彼は「何でも見てやろう」で一躍有名になった。東大を出てからフルブライト資金だったか何かでアメリカに留学する。そのとき彼は自分が大阪にいて8月14日大空襲を受けた日のアメリカの新聞をマイクロフィルムで探すのだ。すると空爆を上から撮影した写真が紙面を飾っているのだが、同じ面に華やかな女性のファッションの広告が載っているので仰天する。この余裕、所詮アメリカに勝てる筈もなかったと思う。同様な話は徳川夢声がフィリッピンで日本軍が没収した「風とともに去りぬ」を見て、「戦争の真っ最中にこういう映画を作ることができる国とは勝てない」と感じるのと似ている。
▼それで世界各国を一日1ドルを使って帰国すると、日本は60年安保反対運動で盛り上がっている。そこで感じたのは「日本人は自分の事しか考えていない」という違和感だった。そしてベトナム戦争が始まり、日本がそれに協力をすべきではない、という立場で「ベ平連」を鶴見俊輔らと組織する。小田は言う、日本はアメリカがくれた民主主義と自由それに憲法で言う平和をうまく使って科学技術を発展させたから、「中流層」を多く作った。それは軍需産業に依存しない経済という面でとても大きな役割を果たした。小田ははっきりとは言わないが、政党の力に依拠しなくても市民の力で政治に風穴を開けることができるのだという事を、自らの命と身体をもって証明したのだと思った。

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