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March 01, 2008

◇「あおげば尊し」に見る終末介護

▼日曜日だったが、NHK1chで午後9時~9時49分の「NHKスペシャル」を見た。話は横浜市の開業医小澤竹俊さんが、ガン患者の緩和ケアを専門としている話だった。そして病院で死ぬよりも末期癌患者の在宅での最期を看取るため心身の家族を含めて心身のケアをする大切さが伝わって来た。印象に残った一人の患者さんは年老いた夫が乳ガンの妻の世話をしている姿だった。画面にはうつむいて疲れ切った妻が映る。自分は夫が自分の介護で苦労しているから、「もう死にたい」と思い医師に話している。医師はふと「妻が風呂に入りたい」と夫に語っている事を思い出して妻に提案する。風呂に入ってさっぱりした妻は笑顔が溢れている。そしてベットで寝たきりだったので起き上がりたいという。そして今までの疲れ切った姿から、人が変わったような姿を見せる。入浴介助をしてくれたヘルパーさんたちと一緒ににっこり笑った写真を撮る。その後、ナレーションは妻が旅立ったことを知らせる。
▼わたしはこの映画を見て1年前に公開され、WOWOWで先日放映された「あおげば尊し」とそっくりなのを思い出す。主人公の光一(テリー・伊藤)は丸坊主で小学校の教師をしている。そして父は病院に入院していたのをあと三ヶ月の命だというので自宅で終末を迎えるべく、自宅に帰ってくる。現実自宅に帰れる場所のある人はまだいいが、わたしなどもしそうなったらエレベーターに乗るまでが、10cmくらいの段差があり、かなりデコボコするのでそれでまず苦労する。さらに死んだらエレベーターが古いので棺がヨコに入らない。
▼映画を作ったのは「東京夜曲」や「病院で死ぬということ」を作った市川準であるから、描写は繊細である。学校のインターネットを使った授業では密かに「死体のサイト」が流行っている。光一が注意すると生徒は「なぜ悪いの」と開き直る。光一はうまく説明が出来ず、「とにかく止めろ」というだけ。そして最後を看取る父親のベッドに、子どもたちを来させて課外授業をする事を思いつく。生徒を一人ずつ呼ぶのだが、先の「死体を撮ってなぜ悪い」と言ったこは死の床にある光一の父の姿を密かにデジカメの収めていたことが分かり、彼は強く叱責する。そして「なぜこんな事をするのだ」と聞くと意外な答えが返ってくる。そして最後に近い頃、父親に聞こえるように「あおげば尊し」の歌声が聞こえてくる。教師をしていた父は、果たしてあの卒業式の別れの歌が聞こえたのだろうか。

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