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August 07, 2008

◇「スカイ・クロラ」を見る

▼昨日の続き、食料自給率のこと。まず主食である米の自給率を上げないと意味はない。しかし現実に米の減反が中止になったという政策は聞いていない。今ラジオでハンマー投げの室伏がクボタ農機のCMに出ている。曰く「ボクの力の源はお米です」と農家のみなさんに感謝を述べる。しかし終戦直後ではないので、その彼の言葉も空々しく聞こえてくる。戦前にはこんな「お百姓さんごくろうさん」歌があった。
▼アメリカは戦後MSA協定というので学校給食を「無料」にしてパン給食を実施してきたが、その裏には日本人の味覚を変えてアメリカの小麦を買わせようという、遠大な計画があったのだ。「アメリカの小麦戦略と学校給食」参照。
▼◇「スカイ・クロラ」すでにMINさんが読者の投稿欄に書いていらっしゃるが、こちらはまた別の視点もあると思って書く。わたしが押井守を知ったのはかなり遅い。「週刊アスキー」というパソコン週刊誌に「有名人がパソコンをどう使いこなしているか」というような欄があって、怪しげな風貌をした押井が登場したのを見てからだ。その連載の途中でポーランドで撮った「アバロン」が公開された。それを見てから遡ってレンタルビデオで「人狼」などを見た。さらに調べて行くと「狼少年ケン」とか「ニルスのふしぎな旅」などで既に頭角を現していることがわかった。それから「攻殻機動隊」などにはまっていくのだった。
▼19××年という近未来であるが、時代設定はプロペラ戦闘機が飛んでいるから19××年の東ヨーロッパの某国であろう。登場するのは後部にある二枚のプロペラが回る不思議な戦闘機の分隊基地である。そこに腕の立つ一人の男函南優一が赴任する。着任の報告を受けるのは草薙水素(すいと)で、無表情で淡々と報告を聞くだけである。実はここに登場する人物はキルドレと呼ばれる、言わば人造人間の一種類で大人に進化することもなければ生命は殺されない限り永遠に続く運命を持っている。
▼そして人々は戦争というものをショーによって体験できるだけだ。しかもそれを運営しているのは、戦争請負会社である。戦闘員たちもその社員ということになる。人々はTV画面に映る戦争を一種の娯楽として楽しんでいる風でもある。草薙少佐という名前は「攻殻機動隊」にも出てくるが、クロラでも位置付けとしては同じ地位にいる。彼らはいずれも大人になることを選ばなかったが、それは苦しみから逃れるためなのか、ハッキリしない。スクランブルが発令されると彼らは、戦闘機に飛び乗ってドッグファイトを繰り広げる。それは淡々と行われるが、敵の戦闘機の中に特殊なマークを付けた腕の立つ隊長機があってそれを撃ち落とす事がクロラたちの最大の目標となっている。
▼そして地上にあって草薙は何か吹っ切れない感情を持ち続ける。それは何か?函南は不思議な気持ちで彼女と接している。ある夜視察に行った帰りレストランで食事をして、さらにベッドを共にすることになる。すると草薙の恋人は死んでしまって、その生まれ変わりが函南なのではないかと思っている節があるのだ。
▼あるひ連隊飛行で爆撃をする命令が下る。目的地に上空にさしかかるが敵の対空砲火が激しくて目的を達成することができずに、帰国する。そしてあるひスクランブルで上空でバトルをするとまたあのコブラ(だったか忘れた)マークの隊長機を目撃する。仲間は「深追いするな」というのも聞かず、函南はそれを振り切って追いかけ、帰投不能になってしまう。おそらく撃墜されたのだろう。草薙水素は感情を押し殺してその報告を受け入れる。そして数日後函南そっくりの男がエンジン音を轟かせて着任する。
▼たしかに戦闘機のドッグファイトのシーンは実戦の戦闘機に乗っているような錯覚をうけるほどすさまじい。しかし何が起きても感情の起伏がなく、生きることにしがみつかないという生き方は、どうもピンと来なかった。

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