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August 26, 2008

◇「12人の怒れる男」(ロシア版)を見る

H200822_seet昨日近くの郵便局で買った「パトレーバー」の切手シート
▼最近プライバシーの侵害ではないかという投書が散見されるGoogleの「ストリートビュー」というソフトがある。当面主要4大都市圏だけらしいが、そのうち全国に拡げるという。不思議なのは自分が立っている地点を360度見回す事が出来ることだ。幹線道路の場合車載用GPSを作る会社が道路に沿ってあらゆる方向から走行してビデオカメラに撮影し、画像にする。しかしこの場合裏の路地まで見ることが出来るというのは、特殊なビデオカメラを持って歩きまわっている人がいるのだろう。わたしの家の周辺を見たら、隣のイタリア製バイクショップは写っているが、2、3軒飛んですっぽり抜けていた。切りぬきがうまくいかなかったのだろう。
▼◇「12人の怒れる男」(08年度ロシア版)この映画は昔ヘンリー・フォンダ主演でアメリカで作られた。地味な映画だったが陪審員の責任というものの重要性を訴えていた。今回場所を現代のロシアに置き換えて作られた。チェチェン人の少年が養育して貰っていた義父をナイフで殺害したという事件が発生する。裁判官は、「有罪の場合少年は無期刑もありうる」と12人の陪審員に明日まで結論を出すように宣言して閉廷する。合議の場所は近くのおんぼろ体育館だ。12人の男達は体育館に急ごしらえで設えた場所に水とサンドイッチなどをあてがわれ、携帯は全部取り上げられて外からカギを掛けられる。廷吏は用があったら外で待機しているから呼べという。
▼最初の多数決を取ると1人だけが「有罪にすることに反対」だと挙手をする。その後工兵を期すためにメモ用紙を使って投票することになる。なぜ反対したか?反対した男は「疲れているから」、「めんどうだから」と言って一人の少年を20年以上も監獄に綱いておく事が許されるか良く考えよ、という。そして体育館の中にマットや椅子を使って事件現場を再現する。まず足の悪い老人が「犯人を見た」という不合理性が解明される。つまり「見た」というのはウソなのだ。隣のマンションに住む夫人が「ナイフを突き立てるのを見た」という証言も「不可能」であると結論される。
▼そもそも少年がここに義父と住むようになったのは、チェチェンにいた少年が、ロシア軍によって両親を殺害され、それを気の毒に思ったロシア軍兵士が彼を引き取ったという経緯があった。ロシア軍との射撃戦で両親は殺害され焼かれる。少年だけは犬を抱きかかえて地面に伏せていたためにかろうじて命拾いをする。そしてロシアに連れて来られたが、言葉が通じなくて隣近所からは疎外されていた。そして隣の夫人からは元軍人の義父が男前で目をつけていたので嫉妬されていた。そもそもボロボロで古い軍人宿舎は、人が住み続けるのはかなり困難な状態だったのだ。その両隣は新しい高級マンションの建設予定地になっていて、少年たちが住む家だけが邪魔になっていたのだ。陪審員たちはそのマフィア(経済マフィアは元ソ連共産党幹部がかなり多い)が仕切るマンション建設業者が、少年一家を立ちのかせるのは無理だから殺害したのでは、と結論づける。
▼ここまで到達するのに映画では約2時間かかっている。では全員一致して「無罪」の判決が出て、「さあ解散だ、家に早く帰ろう」、「恋人と早く会おう」と立ち上がったとき、今まで寡黙で出番のなかった陪審委員長(監督のニキータ・ミハルコフ)が「ノー」の一票を投じる。なぜか?「少年を無罪にして町に出せば、マフィアに必ず殺害される。牢獄にいた方が生命を長らえることができる」というのが陪審委員長の主張だった。評決は全員一致でなければならない。みんな自分が少年を引き取る事などには尻込みするが、さあどうするか。日比谷シャンテにて。
▼今のロシアで何が起きているか。チェチェンでロシア軍が何をしているか。そして国内では秩序よりマフィアが跋扈している様子が的確に描かれている力作である。それに日本に来年度から実施される「陪審員制度」についても一石を投げかけている。

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