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August 11, 2008

◇「ダークナイト」を見る

▼◇「ダークナイト」バットマンシリーズの最新作。あまり興味を持っていなかったし、第一今まで「バットマン」は一度も見たことがない。アメリカでは、日本と違って検事は選挙で選ばれる。だから任期中に「業績」を上げる仕事をしていないと次がない。ジョーカーなる犯罪グループがその検事に戦いを挑む。彼らは銀行強盗をして金庫を破壊して、大量の現金を奪っていく。そして「バットマンの素顔を見せれば犯罪をやめる」と言って挑戦状を叩きつける。バットマンと協力関係にあるゴッサムシティの検事(「サンキュー・スモーキング」に主演したアーロン・エッカート)は張り切る。しかし追いつめたと思うとジョーカーは変装して取り逃がしてしまう。検事は実はバットマンも好意を寄せているレイチェルに結婚を申し込んでいるが、色よい返事は貰えないでイライラしている。
▼そこへ来てジョーカーを取り逃がしてばかりで、検事としての人気は下がる一方で何とかしなければならないと焦る。ジョーカーは「バットマンが素顔を見せなければ、市長初め次々殺人を犯す」と予告してそれを実行する。ある日市長にとっては最も晴れがましい、大勢の警官を従えて、パレードで路上行進をする。警戒は万全だったのだが、銃を使って祝砲をあげる警官がすべてジョーカーの手下に入れ替わっていた。ここで失敗したら警察のメンツもなくなってしまう。危機一髪でバットマンが現れてどうにか危機を回避する。ところが次は市内の病院に爆弾を仕掛けたと脅す。そして検事は先の市長警備で大やけどを負って左半分の顔が、「ターミネーター」のようになって、入院している。そしてジョーカーをやっつけるためなら何でもアリだと叫ぶ。そしてバットマンにもジョーカーをやっつけろと説得して納得させる。
▼市民の「正義を守る世論」というのはそのときの状勢でどうにでも変化するのだ。これはまさに911でアメリカの世論が「テロとの戦い」に傾いた事と一致する。絶対の正義などという物はこの世の中に存在しない。暴力を使っても、相手を制圧すればそれは正義として市民に歓迎される。今までのアメリカ映画は分かりやすい「正義」と「悪」の対決になっていたが今回はまったく違う展開だ。「正義」は「悪」と表裏一体の関係になっている。人々が「ヒーロー」を求めれば求めるほど、「悪」が栄えるという構造はイラク戦争を見るまでもなくアメリカの現実である。
▼取り調べで口を割らないジョーカーに対して、拷問をしても良いのだという権力側である検察、警察、それにバットマンの思想はそれを見事に具現化している。こういう視点でこの「ダークナイト」は大傑作である。予告も入れて3時間なので、覚悟を決めて見に行くべし。

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