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September 02, 2008

NHKハイビジョン「兵士達の悪夢」を見る

▼先日行きつけの書店の「ミリタリー・コーナー」で立ち読みをしていると、70歳近い男性が来て店員さんに「自衛隊の本はないか?」と聞いていた。わたしの目の前にはそういう本がたくさん並んでいたが、店員さんが詳しく聞くと「自衛隊に入る本だ」という。止した方が良いと思うが黙っていた。マニアのサイトでも「CQB(都市型接近戦)の訓練をやりたいがどこの自衛隊に入ったら出来るか?」というような質問があって、元自衛官が質問に答えている。それによると、「二度とああ言う所には行きたくない」というのが経験者の大多数の意見であるようだ。
▼NHK31日ハイビジョン夜7時から「兵士達の悪夢」という2時間の特番があった。それは第一次大戦から現在まで兵士が「戦場で人を殺す」という事でかなり多くの精神障害を追うという分析だった。見聞きする例でも猟師は鉄砲で猿を殺害するのを嫌うという。それは姿格好がかなり人間に似ているからだ。まして戦場で殺すのは人間そのものだから、その後遺症は大きい。第一次大戦の時、砲撃戦が進むと塹壕戦になっていく。そのときあたりから砲撃の音に絶えられない兵士が続出する。これはシェル・ショックを呼ぶ。現在でも兵士を精神的に痛めつけるために大きな音のする砲弾を撃つ事がある。それがつづくとやがて眠れなくなるという。さてテレビではフランスがそういう傷害を受けた兵士を「意気地がない」と電気ショックの治療を試みる。兵士はチック症状を出すのだが、電気ショックを受けたくないので、形だけは「正常」に戻る。しかし電極を持って兵士を追いかける医者の映像が残っているが、滑稽というか悲惨である。
▼同じようなシェル・ショックを受けて動けなくなる兵士はフランスだけでなく、ドイツ、イギリスでも多発していたのだ。そしてある統計によると兵士の前線での発砲率は当時25%だったという。それは人を殺したくないので、空に向けて撃ったり、引き金を引かなかったりして、自己防衛としての「反戦機能」が働いたのだろうという。各国とくにアメリカでは兵士がどうしたらためらわずに引き金を引くかという、「研究」を続ける。その結果朝鮮戦争ではマン・ターゲット(黒い人型をしたターゲット)を開発する。今のアメリカのイラクに行く直前の訓練が映し出されるが、イラクの町をアメリカ国内に再現してコンバット・シューティングの練習をさせ、ためらわず引き金を引かせる訓練をしている。やがて兵士は黒いシルエットが出たらら、ためらわず引き金を引くようになる。それがベトナム戦争ではムービング・マン・ターゲットになる。つまり撃つとターゲットが倒れるというゲーム感覚で敵(人間)を撃てるようにする。そして敵は猿以下の人間で知識がないと、兵士を洗脳するのだ。殺人を馴染ませるのが基礎訓練である。その結果前線における発砲率は格段に上がったと元国防相高官は自慢する。
▼みなさんは「ブート・キャンプ」などというDVDを使った体力作りをしていないだろうか?ブート・キャンプとは、上官の号令で無条件で引き金を引く人間を作る所だ。その元指導教官だった人も登場する。これは映画「フルメタル・ジャケット」で余りにも有名であるが、最近の映画では「アメリカばんざい」にも本物のあの無条件で「イエス・サー」という訓練が出てくる。ベトナム戦争になるとマンターゲットは菅笠をつける。よりベトナム人に似せている。そして森や林、藪で物音がしたら人影が見えなくてもアサルト・ライフルをフルオートで発射する訓練に変わっている。人に向かって引き金が引けないなら、藪むかってに無条件で撃たせるのだ。しかしそれでも兵士は人間であるから、ソンミで母子を殺害した兵士はその場面が夢で甦ると言って怯えていた。そして彼は10年くらい前に猟銃で自殺を図ってしまう。そしてイラクでファルージャ作戦に従軍した兵士も登場するのだが、ある老人を撃ってしまった。たしか兵士は全員黄色の「交戦規定書」を持たされているが、現場では動いたら撃つというのが現場の兵士の判断に任されている。老人は果たしてテロリストだったのか、何か言いたかったのではないかと今でも夢でうなされて、もの凄い量の治療薬を飲み続けている。
▼戦争に対する最良の治療薬は、「人を殺さない」ことに限るとわたしは思う。ニフティブログメンテナンスのためHPにて公開していました。

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