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October 27, 2008

◇「ワイルド・バレット」を見る

▼ある週刊誌に「クエンティン・タランティーノが激賞した」という映画が紹介されていた。実はわたしはが好きな映画は彼と、マドンナと最近離婚したガイ・リッチなので、この映画を絶対見逃す訳にはいかない。上映スケジュールをネットで見ると早く終わってしまうかも知れないので、某日予定を都合して出掛けた。今週の「週刊金曜日」に北村編集長と井筒和幸監督がそれぞれ映画について面白い事を書いていた。北村は宮崎駿の「ポニョ…」の事を黒澤と比較して「天才は総じて同じ道を辿るのだろうか」と皮肉っぽく言う。井筒は「外国の映画祭で見て、貰っただけで感動されたとか勘違いして…有頂天になって帰国する映画監督もどき連中」と名前はだしていないが北野TとかY洋次を批判している。わたしが批判的に書いたシドニー・ルメットの「その土曜日、7時58分」だってはっきり言って駄作である。有名監督ならば。プロデューサーが映画を作る資金を集めやすいので、駄作でもスタッフの雇用対策のために黒澤同様時々作るのだ。それと宣伝費をかけなくても有名監督なら、観客は期待して黙っていても来る。
◇「ワイルド・バレット」イタリアマフィアの親分の息子トミーが拳銃を使って警官を殺す。ボスから銃で足が付かないように、その処分を頼まれたのが下っ端のジョーだ。映画は喘息にあえぐ隣の息子を救急病院に運ぶ場面から始まり、「18時間前」と一回だけ時間が遡る。通常映画では遡るのは一回だけだ。ところが耄碌したルメット監督と来たら遡るばかりで、頭が痛くなる。その点「ワイルド…」のウエイン・クラマー監督はすべてに冴え渡っている。ジョーは金ぴかのメッキをしたスナップノーズの拳銃(S&W2・5インチモデル)をすぐに処分せずに、家に地下のロッカーにしまったままだ。それを自分の息子と隣の息子は物陰からこっそり見ていて盗み出す。そしてジョーの家のロシア移民の隣家は窓から覗くことができる至近距離にある。そして隣の息子オレグ(キャメロン・ブライト)は、自分の育ての母にドメスティックバイオレンスを繰り返す祖父に発砲して大けがを負わせる。
▼隣家の発砲音に気づいて駆けつけるジョー。拳銃はどこで手に入れたのだと息子に詰問するとロッカーから盗み出したらしい。真っ青になるジョー。それがばれたらボスに殺されてしまう。そこから追いつ追われつの追跡劇が始まる。タランティーノ激賞だから、おそらく拳銃の撃ち合いだけだと想像される読者のみなさんは読みが浅い。DVとその原因を究明して子どもを助けようとするジョーが葛藤するのだ。美人のジョーの妻テレサがまたまた凄い。逃げ回るオレグはスーパーの物陰に隠れていると親切そうな夫婦に助けられて高級マンションに連れられていく。オレグは何か様子が変だと気づいて、携帯を借りてテレサに助けに来てくれる様に連絡する。場所は洗面台にあった薬品に書いてある住所から探り当てる。そして高級マンションに乗り込んで部屋を一つひとつ探して行くが、オレグは見あたらない。夫婦は「もう探し終わったのだから早く家を出る様」催促する。しかしテレサは夫婦が青少年を大量に誘拐して、臓器売買で殺害していたことが分かる。怒り狂ったジョーの妻テレサは夫婦をオートマチック拳銃で撃ち殺してオレグを助け出して家に帰る。
▼一方スナップノーズ拳銃の行方を追っているジョーの立場は段々悪くなる。そしてアイスホッケー場に連れて行かれたジョーにはマフィアの苛酷なリンチが待っていた。そして事件は最後まで息を抜くことができないほど二転三転していく。そして最後にジョーの正体が明らかになり、事件の真相が明らかになるが…。この映画は都内では新宿トーア、千葉ではシネマックス千葉31日まで見ることができる。シドニー・ルメットはカネがあるから莫大な宣伝費をかける事ができるが、無名の監督は場末の映画館でしか上映できない。しかしルメットよりも数段優れた作品であることは間違いない。

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