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October 26, 2008

◇「リダクテッド/真実の価値」を見る

▼夕べはうっかりしていて「ジャッジ2」を見るのを忘れてしまった。昨年放映された「1-1」も放映そのものを知らなくて見始めたのは「1-2」からだった。NHKも最近は再放送をしないてDVDで発売しているものを買わなければ、見ることが出来ない。
◇「リダクテッド/真実の価値」現実に06年にイラクのサマワの基地の前に、米軍の兵士の首なし死体がに放置された事件があった。当初これはイラクの過激派の起こした事件と見られた。しかし調べて行くと基地の近くの一家4人の殺害事件があった事がわかる。情況証拠を積み重ねておそらく、真相はこうだったのだろ、と作られたフィクション映画。サマワの米陸軍チェックポイント。そこにはある中隊が配置されて、検問に当たっている。中隊には文学青年、弁護士、除隊したら映画学校に通おうと思っている青年達がいる。任務は爆発テロに備えて、車がクランクに徐行しないと通れないようになっている。そこでまず車を停止線に止まらせ、検問所までゆっくりと誘導する。M1A1戦車も停まっているが、主たる兵器は重機関銃である。車に乗っているイラクの人を車の外に出してボディチェックし、シェパードで爆薬の匂いをチェックし、さらに車体の下を鏡で、そしてトランクのチェックをすると、車はようやく動き出す事ができる。
▼そこにはサッカーをやっている少年たちも遊びに来て、乾燥したナツメヤシを貰う兵士もいるが曹長から「毒が入っていたらどうするのだ」と捨てさせられる。そしてある晩家具などを捨ててある場所にある荷物が捨てられていく。翌朝そこに近寄る一人の兵士。上官から「同じ場所でも荷物が違っているかチェックした後でないと近寄ってはならん」と忠告を受けるが、その直後荷物は爆発し、兵士バラバラ死体になってしまう。
▼そして怒りに燃える中隊は、民間人の家の「犯人の捜索」に向かう。家の主人を「こいつらがシーア派で犯人だ」と手錠を掛けて連行する。この場合TV局のレポーターが捜索に同行しカメラを回す。この逮捕は正当ですか、犯人だという証拠はあるのですか?だがその証拠などありはしない。検問所の近くに高校があり、そこに通う女子学生たちも兵士のボディチェックを受ける。あるときその一人15歳の少女に目をつけた兵士がいる。夜飲んでいたとき、「捜索に行ってやっちまおう」という相談が持ち上がる。5人ほどの兵士で熱心にそれを持ちかけるのは2人、他の3人は「イヤだ、自分の身内がそうなったどう思う」と断るが、逆に「クビの骨を折る」と脅迫される。暗視装置をつけて目的の家に突入する兵士、目的を果たすと家族と女子学生の4人を殺害する。それらの行動は同行したビデオマニアの兵士によってつぶさに録画されており、「捜敵」その家の目的が正当化される何一つの証拠もない。現地のTVでもその不当性が報道される。
▼そして検問所にビデオ兵士が立哨しているとき、突如バンが現れて、武装勢力にあっという間もなく誘拐される。そしてその兵士の斬首される模様がネットで流れる。これはとってもリアルである。暴行殺害事件を調査する軍の憲兵隊。証言しようと迷っている兵士に「お前はその現場を見たのか?記録された写真でもあるのか?」とまともであることを許さない軍隊という機構。ある兵士はネット電話で父親にそのことを相談するが、「お前が精神異常にされるから、よせ」となだめられる。そして帰国の日がやって来る。まっている古里の人々は彼の武勲を褒め称える。しかし彼は暴行事件がトラウマとなって、「真実を告白できなかった」と妻の胸に俯せになって嗚咽する。
▼911事件以降、少数意見が抹殺され、異論をだすと白眼視されるアメリカ。この映画はベネチア映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受けた。ブライアン・デ・パルマ監督は「アンタッチャブル」や「Mi-1」を撮った人でもある。シアターN渋谷で初日初回に見た。「ぴあ」が近づいてきたが前回の事があるので断った。すべて家庭用ビデオ、ユーチューブ、CNN、アルジャジーラの映像を組み合わせた風な画像を使って「真実」らしく作ってあるのがミソ。
▼日曜日に発行されたある日曜版に、この映画の解説で「少年の持っていたサッカーのボールが爆発した」と書いてあったが、ここに書いた通り「ゴミ箱が爆発している」このバ○記者は眠っていたのだろうか?記者の水準の低さには驚くばかり。ちゃんと目を空けて見て欲しいものだ。ちなみに映画のタイトルである「リダクテッド」とは「不都合な情報が削除された画像」という意味だ。

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