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October 24, 2008

◇「ボーダータウン 報道されない殺人者」を見る

▼きょう桝添厚労相が墨東病院を訪問するという。この人はパフォーマンスが好きな人だ。テレビに映る効果を期待しているのだろう。しかし昨日読み終わった「アフリカ・レポート」でも当地の独裁者や為政者が行う手口というのは共通している。つまり自分の失政を取り繕うために「敵」を作って国民に攻撃させるのだ。桝添が「○○日までにやりきる」と大言壮語したことが、一つでも実行できた事が一つでもあったか思い出して欲しい。
▼昨日の朝日朝刊で吉田秀和が「音楽展望」で「映画の思い出」というテーマで書いている。かつてわたしは彼の全集を何冊か買ったことがある。この随筆の後半で94年のフランス映画「無伴奏シャコンヌ」について書いている。わたしはこの映画の公開当時たしか新宿で見た覚えがある。ただ覚えているのは最後に地下鉄の構内でチェロを弾いている場面だけだ。吉田は「シャコンヌが世界のもろもろのものを一つに束ねているような気がする」と締めくくっている。最後にリルケの詩を紹介しているが、それを読むとシャコンヌを聞くのは秋が一番似合っているのかと思った。
◇「ボーダータウン 報道されない殺人者」これはハリウッドにしてはもの凄い映画である。シカゴの新聞社に勤める女性記者ローレン(ジェニファー・ロペス)にデスクは「メキシコに少女の殺人事件が多発しているから取材に行くよう」にと命令する。彼女は「帰ってきたら海外特派員にしてくれる?」と出掛ける。メキシコにはかつて一緒に仕事をしたディアス(アントニオ・バンデラス)がおり彼の経営する新聞社「エル・ソロ」だけが殺人事件を記事にしようとしている。一人の少女エバも夜勤が終わって深夜勤務の組と交代してバスで帰宅するのだが、最後は運転手と一人だけにされてしまう。そして一人になったとき運転手は狼に豹変して、外で待っていた仲間とともに少女に暴行を加え殺害して砂漠に埋めてしまう。しかしエバは奇跡的に生還して自宅に戻る。母は警察に訴えようとするエバに「警察はアテにならないから、エル・ソロ新聞社に駆け込もう」とする。
▼そこでローレンスに出会い。彼女は真相に迫ろうとする実はメキシコはNAFTAに入っており。アメリカとの隣接地に大規模な工場が沢山建てられている。そこで働く安価な労働力として少女が沢山働かされているのだ。だから警察は少女の命を守る事にはあまり関心はない。そして企業経営者も議員とつるんで、工場の安定経営と労働力の安定確保にしか目はいかない。したがって真相を暴こうという新聞社は敵であり、その記者も邪魔者となる。周辺の取材だけでは埒があかないと思ったローレンスは、「おとり捜査官」の松下由樹よろしく髪を染めて工場に就職する。映画の話はテレビ組立工場だが、実際に写っているのはバイクのエンジンの組立ラインだった。そしてわざと深夜のバスに一人乗り込む。警察はディアスと前に少女が殺された砂漠で待機しているのだが、バスは別の自動車廃品工場跡でとまる。絶体絶命のピンチに迫ったローレンスだが、かろうじて逃げ切る。しかしそこで発見したのはおびただしい女性の死体だった。
▼報道では700人くらいの女性が殺害されているというが、実際には5000人も殺害されているのだ。エバは裁判で工場や殺人容疑者と闘おうとするが、暗殺者は執拗にエバとローレンスに迫ってくる。そして記事を書き上げた彼女はシカゴの本社に記事を送るとデスクはベタ褒めする。しかし翌日同僚から電話があって、「あれは載らない」と警告する。帰国してデスクにくってかかるローレンス。新聞社はスポンサーによって成り立っていると釈明するデスクは「海外特派員のポストも用意してある」と誘う。しかしローレンスはそれを蹴って再びメキシコに行く。だが彼女が到着する直前、新聞社内にいたディアスは狙撃され命を落とす。だがディアスは少女を守って司法の場で闘う決意をし、メキシコの新聞社で働くことにするのだった。日比谷シャンテで。
▼ジェニファー・ロペス自身プエルトリコの移民であり、この映画は実際メキシコで起きている事件を参考に彼女自らがプロデューサーとなって作った。

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