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February 02, 2009

◇「ポチの告白」を見る

▼自動車運転免許証の更新があったのだ。わたしは無事故無違反なのでDVDを15分と新しい免許制度についての説明を聞くだけの30分で済んだ。今度からはICカード形式になっていて、暗証番号で本籍地などのデータが出てくる仕組みになっている。今後75歳以上の人が更新する場合は「認知症の検査」が義務づけられた。今までの視力検査だけなら合格しても、認知症テストでかなり大勢の人がふるい落とされることになるだろう。読者各位はその年齢になったら振るい落とされないよう、今から耐認知症の訓練に励んで欲しいぞ。
▼◇「ポチの告白」テレビでも映画でも刑事物ドラマにあって、警察は絶対の善の象徴であり、それに対抗する暴力団などは絶対の悪の存在となる。10日ほど前に「誰も守れない」というTVドラマが放映されたが、女医とその父が脅迫されているのは、暴力団ではないかと当たりをつけて、街のチンピラをかなり暴力的に痛めつける場面は見ていて気分が悪くなった。警察の四課などという組織暴力対策の部門の刑事というのは、情報提供で持ちつ持たれつの関係にあるはずだ。それがまったく描かれていない。
▼この映画は3年前に作られ、警察の建物や内部などは千葉県東葛地域の柏市、松戸市などの自治体が、警察犯罪の舞台となる警察署として市庁舎での撮影を許可するなど市役所を使って撮影された。完成してから夕張映画祭で公開されたが、その後配給会社が決まらず一般公開されないまま二年間もお蔵入りになっていた作品である。地域課(いわゆる交番)に配属された竹田八生は通称タケハチと呼ばれて親しまれていた。あるとき所轄の三枝課長に目をつけられ引き上げられる。課長は新婚早々のタケハチを民間アパートから官舎にいれてやり、自分の部下として四課に入れる。あるとき麻薬中毒患者が人質事件を起こしたとき、麻薬をエサにタケハチが単身現場に飛び込び、太ももを包丁で刺されながらも取り押さえる。
▼それから課長の信頼が強まっていく。と同時にタケハチの個人生活にまで介入してくる。初めての子どもが産まれたとき、「名前は奈名子にしておいた」という。その理由は課長の初恋の相手だったというのだ。一瞬ムラッとするが抵抗できないタケハチ。しかし妻は夫の命令に背いて「正子」と名付ける。新聞社のカメラマンは逮捕の瞬間をカメラに納めたため、別のゴロツキが「それはおとり捜査だから警察を揺さぶることができる」からフィルムを欲しいと言う。最初は渋々だったカメラマンも彼に協力するようになる。そして段々分かってきたことは、麻薬捜査に当たっては明らかに囮となる中国人がおり、彼だけそっとにがされている事実だった。その麻薬取引場面を撮って警察に「動かぬ証拠だ」と脅すのだが、逆に袋だたきにされてしまう。
▼その後麻薬取引認める代わりに拳銃摘発で成績を上げるために、警察は暴力団に拳銃の提供の求めるようになるが、その作戦の先頭に立つのは課長の信任があついタケハチである。だが課長の禅問答の様な言葉には「無言の資金作り」という圧力が含まれていた。そして実直で上司の言う言葉に逆らえないタケハチは、暴力団との関係をますます深めて、動きが取れなくなってしまう。そしてある麻薬取引作戦で相手の車に乗っていたのも、別の警察の四課の人間だということが分かって驚愕する。やがて裏を知りすぎたタケハチの存在が邪魔になってくる。おりしも課長は署長に昇進するチャンスがやってくる。臭い物には蓋をしろとばかり、麻薬中毒の交番巡査に別の警察の四課職員殺害の責任を因果を含めて犯人に仕立て上げる。そしてついにタケハチをすべての事件の黒幕に仕立て逮捕してしまう。そして裁判官に圧力をかけ、傍聴人も全員警察関係者で占領してしまう。
▼警察は一家で家族みたいな物という甘い言葉で、交番勤務の巡査を四課に引き上げ、タバコを吸う習慣を身につけさせ、タバコの銘柄までキャメルにさせてしまう。タケハチは三枝課長にバーに連れて行かれる。ママが「この店は警察専用で暴力団と共産党はお断りよ」という言葉に組織に忠誠を誓うことが自分の身を守ることだと思わせるのだ。また幹部になったタケハチが取り調べの時に「日本には二つ逆らえないものがある。天皇陛下と警察だよ」と叫ばせる場面がある。言葉は違っても組織を守る論理というのはいずこも同じだと思った。それに若い警察官を育てる陰惨な場面がでてくるが、頻繁に「警察署の中で警察官が拳銃を使って自殺した」というのは結局の所、「自殺」なのか「他殺」なのか闇の中に葬られてしまうのだとも思える。
▼3時間15分の力作で、休憩時間があるのかと思っていたがなかった。しかし、あまりの迫力にそれも苦にならなかった。この映画は昨年暮れに親友のA君が自宅に来たときタイトルを教えてくれた。昨日出掛ける前に映画館の場所を調べようと思って検索したら、この映画のことを書いている知人で銃器評論家の津田哲也氏のブログを発見した。津田氏は様々な銃器犯罪や組織犯罪にくわしい方で、TV版の「踊る大捜査線」にもタイトルに名前が出る方である。サイトでご自分の携帯番号まで公開している勇気には驚いた。これはわたしの携帯に入っている番号と同一だった。ちなみにポチとは権力の番犬である警察官と、記者クラブで警察の発表だけにぶら下がって記事を書いている新聞記者のことである。新宿ケイズシネマで上映中。(JR南東口から徒歩5分)

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