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February 11, 2009

◇「キャラメル」を見る

▼先日電車に乗ったらゴルフの石川遼選手が200億円の経済効果というANAのCMが掲載されていた。その前日のラジオではマクドナルドが売り上げを伸ばしている、ディズニー・シーが好調だというニュースが流れていた。しかし経済効果は結構だが、そのお金が一部にしか循環していないことが、この不景気を余計深刻にしているのではないか?わたしはゴルフはまったく興味がない。石川に関して言えば、今のうちにもっと学校の勉強をしておいたほうが良いと思う。しかしマスメディアは「よいしょ、ヨイショ」と彼を持ち上げる。マックにしても、ご承知のように「一人店長は管理者だから残業代を払う必要がない」として、それで「利益」を増やしていた会社だ。ディズニー・シーもランドも一度も足を運んだことはない。これにしても行っても出費がかさむばかりで、自分の懐が潤うわけではない。おそらく派遣切りとか不安材料ばかり蔓延しているので、マスメディア各社は「明るい話題」を提供して下さったのに違いない。
▼◇「キャラメル」わたしに取って永遠の味とは森永ミルクキャラメルである。終戦後は故郷には甘いものなぞ一切なかった。たまにいく母の実家に水飴という妙なる甘味があって、それをエサに何キロもの山道を歩いて行った。しばらくすると「町」にキャラメルなるものが現れた。雪印とか不二家それにカバヤとかあったが、黄色のパッケージが一番印象に残っている。だからアイスクリームを買うときにも、このパッケージのものに目が行ってしまう。当然キャラメルとは甘いものだという先入観があったのだが、この映画に出てくるのは塩キャラメルなるものだ。さてその利用法がこの映画のテーマとなる。
▼レバノンの街角にあるヘアサロンで働いたり、通ってくる5人の女達の生き方が交叉する。カットからシャンプー、ネイル、それにメイクなどそれぞれの得意分野で手腕を振るっている。オーナーのラヤールは不倫の恋をしており、恋人から電話があると、仕事中であろうと構わず店を飛び出して自分の車で密会の場所へと出掛ける。不法駐車やシートベルト不着用は当たり前で時折、警察官に忠告されるが、それもお色気でいつも不問にされる。シャンプーが専門のリマはいつもやってくる眉が半月のような長い髪の女性に心を惹かれている。ローズは認知症になった姉と住んでおり、新しいかなり年配のボーフレンドができる。サロンに行って身繕いをして、正装で出掛けようかと思っている矢先、姉が泣き叫ぶのでせっかくのチャンスを不意にしてしまう。しかし老紳士は古くなったスーツを仕立て直し、何時間も喫茶店で彼女が来るのを待ち続けるのだ。
▼毎日サロンに通ってくるジャマルは、無理してオーディションを受けるためにやってくる。しかしどう誤魔化しても老いは隠すことができないので落ち込んでいる。そしてネイルを担当しているイスラム教徒のニスリンは結婚を控えているが、ある秘密を抱えて深刻である。つまり結婚するにはバージンでなければならないのだが、ニスリンは違うのだ。どうしたら良いかと仲間に相談した結果、産婦人科に行った方が良いという結論になる。
▼ラヤールは高畑淳子に似た人でとても魅力的なのだが、どうしても不倫の恋から抜け出せない。そしてあるとき「どうしても妻と別れる事はできない」と告げられる。やけになったラヤールはやっとの思いでホテルを予約し、汚いホテルを磨き上げ着飾って、そうすれば彼がきっと来るに違いないという妄想にふける。しかしやってきたのはいつもの4人の友人たちで、そこで今までも思いが吹っ切れる。
▼あるとき脱毛の無料体験をしたいという客が訪れる。その方法というのが、最初に書いた塩キャラメルを該当する身体の部分に塗りつけて、それを一気に剥がし取るのだ。当然痛みがともなうが、客は美しくなりたい一心でその痛みを我慢する。2番目の客はあの警察官が私服でやってきて脱毛を体験する。そしてニスリンの結婚式の当日、ラヤールも前日に自身が脱毛をして痛みに耐えて美しくなってきたばかりだ。美しくなるという事、美しい女でいつづけるためには痛みに耐える事かも知れない。女達は結婚式のパーティでそれぞれの今を精一杯生きようと考えてダンスを踊るのだった。ユーロスペースで。

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