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March 04, 2009

去年のアカデミー外国映画賞は?

Katyn(ポーランドで発売されているDVD)
▼東京地方は予想に反して雪は降らなかった。地方にお住まいの方から見ればたかだか1cmの降雪で大騒ぎするのは、おそらく首を傾げたくなるだろう。
▼「おくりびと」がアカデミー外国映画賞を受賞したというので大騒ぎしている。ロケの舞台となった山形県の庄内地方の見学客が増えて経済効果があると喜んでいるとも報道されている。庄内はあの綾瀬はるかの「ICHI」だってロケ地だが、これは映画の評判がよくなかったので騒がれていない。しかし何度も言うが経済効果というのを勘違いしていると思う。いやマスメディアはわざと勘違いするように、「工夫」しているのだろう。経済効果というならば国民の消費支出を促すことである。そのためには大企業の内部留保をまずはき出して貰わなければ筋が違う。
▼まあ「おくびと」は良いとして昨年の外国映画賞を受賞したのは何だったかご存知であろうか?それは「ヒトラーの贋札」である。映画はTVになってから見たがそれほど良い作品だとは思えない。何せハリウッドはユダヤマネーだから、反ヒットラー映画ならば何でも入選するのだ。そのなかでノミネートされた作品にポーランドのアンジェイ・ワイダが作った「KATYN」(カチン)も入っていた。これはポーランドでは07年に作られたのだが、未だに輸入されていない。先日ある方から、「カチンはもうすでに、日本で上映されたのでしょうか?ご存知でしたら教えて下さい」というメールを頂いた。調べて見ると輸入価格が随分ふっかけられたらしく、輸入されていない事がわかった。通常アンジェイ・ワイダの映画は岩波の独占輸入、公開となっている。これは想像だが外貨が必要なポーランドがふっかけたのだろう。さらに調べると岩波では来年の正月映画として公開される事になっているらしい。
▼「カチンの森」事件とはみなさんご存知だと思う。1941年6月22日ヒトラーがバルバロッサ作戦と名づけた大規模な対ソ連侵攻作戦が開始された。ドイツとソ連とで分割占領されたポーランドの西側から、ドイツ機甲部隊が雪崩の様にソ連側占領地へと進撃した。歴史上はヒトラーがスターリンを奇襲し、赤軍の虚を突いてソ連へ攻め込んだのがバルバロッサ作戦と言われている。しかしゴルバチョフの情報開示政策によってソ連崩壊後に明らかにされた数々の資料によると、スターリンも逆にヒトラーを攻めて欧州全域をソ連邦の領土にする計画を練っていたことがわかっている。
▼さてドイツ軍が白ロシアにまで軍を進めた頃、ポーランドのスモレンスク郊外にあるカチンの森でポーランド将校が大量虐殺の跡が発見された。虐殺の跡を見つけたドイツ軍は直ちにジュネーブに本部を置く国際赤十字に報告した。すぐに国際赤十字による査察が入り、すぐに8千人を超える死体が掘り起こされた。それらの死体は大半が頭を銃で撃ちぬかれ、その場で大きな穴に50体位ずつまとまって埋められていたのだ。すでに死体は白骨化しているので、つい最近進入したばかりのドイツ軍の仕業とは考えられない。しかしソ連は一貫してそれはドイツ軍の仕業だと言い張っていた。これは歴史的に見れば明らかなように1944年7月29日、映画「戦場のピアニスト」でもワルシャワ蜂起が起きたとき、ソ連はそれに歩調を合わせずただナチスによるポーランド人の虐殺を手をこまねいて見ていただけだ。これれはアンジェイ・ワイダの一貫したテーマになっている。「地下水道」もその一つである。カチンの森の大虐殺もワルシャワ蜂起の見殺しもつまるところ戦後のポーランド支配をしやすくするため、ナチスに抵抗する勢力はソ連が占領したときも抵抗勢力になると見越して殺害に加担し、あるいは見殺しにするというのが彼らソ連の常套手段だったのだ。
▼話が長くなってしまったが、果たして今年の「おくりびと」はそれに値する映画だったのかという事を言いたかったのだ。

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