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June 25, 2009

NHKで「山で最期を迎えたい ある夫婦の桃源郷」を見る

▼しかし与謝野馨の開き直りの論理を聞いていると、権力を持っているものは何でもアリになってしまう。だが市井の人は、警察や検察が「クロ」と決めつけたらもう逃げられない。菅家さんの場合もマスメディアは警察や検察の姿勢を追求している。しかし自分たちがその当時どういう報道をしていたのか、一行も触れていない。松本サリン事件で河野義行さんが警察やマスメディアとどう戦ったのか、じっくり考えて見て欲しい。
▼もう一つ国会議員などがクールビズとか称してネクタイを外している。普段ネクタイをしているから、どうやれ見られる姿になっている。しかしかけ声だけのクールビズの彼らのノーネクタイ姿を見ていると、どうみてもその筋の人にしかみえないのは、情けない。それに彼らを守るゴツイSPが後ろに控えているから、余計に迫力を増す。しかし本当に彼らを襲おうという人達がいるのだろうか?もしいるとすれば政敵ではなく、利権がらみで権力者に敗れた人達に違いない。
▼NHKの2週にわたる「ザ・ベストテレビ」の番組は紹介した他、原爆投下直後を撮影した米軍の従軍カメラマンの話も見た。これは先に前編とも言える父親だけが登場した作品を見ている。番組が始まる前に、賢所にお住まいのさる高貴な方も「涙なく見られなかった」というコメントも出ていた。見たが仕事の前に書くと一日落ち込んでしまうので書けない。もう一つは「小林多喜二」もあった。わたしはどうもプロレタリア文学というのは苦手である。1ヶ月前に小樽に行ったが、小林の遺跡などがある周辺には近寄らなかった。三浦綾子の小説を俳優の誰かが舞台で朗読する形で紹介していた。生い立ちの紹介はまだしも、虐殺の場面がこれでもか、これでもかと出てくるのは、やはり耐えられない。
▼中でも一番良かった「山で最期を迎えたい ある夫婦の桃源郷」(山口放送)だった。 田中寅夫さん(93歳)、フサ子さん(88歳)は山口県、中国山地の山奥にふたりは住んでいた。 80歳になった頃、3人の娘を育てた夫婦はどうしても山で暮らしたいと、むかし子育てをした山に戻っていく。電気も水道もない山奥で、夫婦は少量の食料を畑で作って暮らす。夫が山菜などを取りに行って中々戻らないと、甲高い声で夫の名前を叫ぶ「寅男さーん」。それでも現金が必要になると軽トラックで郵便局に来て二人の年金から郵貯カードを使って引きだそうとするが操作は難しい。
▼それから7、8年たって夫に病気が見つかる。娘たちはそれぞれ独立しているが、二人を町の施設に入れる。夫はそれでも医師と施設の許可を取って、時々山に戻って畑の手入れをする。そしてついに夫は足腰が立たなくなり、妻は認知症になる。19年も撮影をしていくうちに、プロデューサーも体調を壊して2代目の人に交代する。その間録ったビデオは何と305本になっていた。最初は山で暮らす老夫婦の生活を描くつもりが、交替とともに介護がテーマになっていく。90歳を過ぎて夫はついに帰らぬ人となる。しかし娘夫婦たちは昔育った山の畑を守ろうとして仕事を畳んで近くの町に越してくる。それで畑仕事をするとき、残された妻を連れて行く。
▼妻は夫が亡くなったことを認識できない。「お父さんいないね」という妻に、娘の一人は「山にいるかも知れないから呼んでみたら」というと80代とは思えぬ、あの甲高い声が甦る。「寅男さーん」何度か山にこだまする。娘は「返事が聞こえたよ」というと、妻はこの瞬間は正気に戻っていて「聞こえなかった」という。しかし山の畑は娘たちにしっかり引き継がれている。ナレーションは最後に「良い人生は歩き方を教えてくれる」と締めくくる。

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