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August 03, 2009

◇「セントアンナの奇跡」を見る

▼◇「セントアンナの奇跡」郵便局の窓口で「2ドル切ってをくれ」と言った男を、いきなり旧ドイツ軍のルーガーP08拳銃で射殺する場面から映画は始まる。殺した男は何者か?殺された男はいったい何者だったのか?記者会見に遅れて来た新米新聞記者は、刑事にお礼をするから「加害者に直接会いたい」と頼み込む。すると加害者の家から何やら年代ものの美術品の頭部が見つかる。さっそく研究者のところに持ちこんで鑑定してもらうと、「もの凄い」と驚かれる。
▼舞台は一転して第二次大戦中のイタリア戦線トスカーナ地方。アメリカ軍のバッファロー中隊は黒人だけの部隊で激戦地を歩かされている。ドイツ軍の攻撃を受けて司令部に砲撃を依頼するが、上の空で聞いていた砲兵隊の指揮官は味方に打ち込んで、残った兵士はたった3人になってしまう。そして彼らは小さな村に迷い込んでしまう。そこには言葉の通じない村人と、壊れた家の下敷きになり瀕死の状態で発見された一人の少年だった。
▼必死にコミュニケーションを図ると、どうやら村はナチスに包囲されており、村人を守っているのはごく少数のパルチザンであることが分かってくる。そしてパルチザンの中味も意思は統一されている訳ではなく、疑心暗鬼に充ちた状態でかつ対立している。そして村人もまたファシスト支持者やら抵抗派など様々である。それはかつてこの村がナチスのSS部隊に包囲されたとき、隠れたパルチザンの場所を村人の誰もが口を割らなかったため、ソンミ村の虐殺同様、牧師を戦闘に集団で殺害された経緯があった。(これは実際の話で、エンディングロールを見ていると撮影もトスカーナのフィルムコミッションが協力している)
▼しかもファシストの祖父を持つ娘はまたまた魅力的で、アメリカ兵と恋に落ちたりするからややこしい。話は再びアメリカの新兵訓練風景に戻る。軍隊では黒人は鉄砲玉と同じで使い捨てだといわれる。そして外出時にレストランでアイスクリームを注文すると、店主は「お前らに食わせるアイスはない」と毒づく。それに腹を立てた彼らは仕返しをしようとするがうまくいかない。
▼再びトスカーナ地方の村。ナチスドイツの部隊は刻々と近づいてくるが、パルチザンの一人は斥候に行ったものの「何も見なかった」と嘘をつく。実は生き延びた少年は以前に虐殺の場にいたのだが、心ある一人のナチスの兵士に「逃げろ」と逃亡させられていたのだ。村にナチスは迫り、パルチザンも手薄で彼らを追い払う見込みは既にない。ただ戦えるのは4人の黒人兵だけだが、彼らは絶望的な戦いを挑む。
▼新聞や雑誌の前評判が良いため、わたしは3日目にしてようやく見る事が出来た。しかし2時間40分の映画はテーマを詰め込みすぎている。軍隊の黒人差別と復讐、ナチスの虐殺、一残った少年と古代彫刻の頭部と3つのテーマがあるのだが、一つに絞って欲しかった。だから居眠りしている人も結構いる。このスパイク・リー監督の映画は「クロッカーズ」から見ているが、年を取るに従って次第に作り方が長くて分かりにくくなってきている。だから最初に射殺された男は元上官なのか、レストランの経営者なのか未だに分からない。日比谷シャンテシネで。

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