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August 18, 2009

NHK「ETV特集/戦争とラジオ」を見る

▼選挙戦が始まる前日に政府統計を出してGDPが改善しているなどというのは、かなり政治的なやり方である。おそらく官僚たちが考えて行ったエコ減税や、休日ETCの1000円というのも、その統計上の数字を出すために意識的に操作されている。
▼それに先日電車の中の中吊り広告で文藝春秋のCMを見て驚いた。佐野眞一という人も、かつて立花隆が「N党研究」を出したように、今回はM党リーダーの「89億円の個人資産研究」を発表している。いや別にわたしはM党ファンではないからどうでも良いことだ。しかしマスメディアが、すべて政府の思惑通りに書くのだったら、その役割は終わったと考えて良いのだ。
▼日曜日NHK教育TV「ETV特集/戦争とラジオ」を見たが、同じような事を感じた。東条英機は国民が一致して戦争に協力するための体制づくりを、大政翼賛会から始めた。政治分野のそれは同じ時間NHK1chで放映された「気骨の判決」でも取り上げられた。NHKラジオの原稿は国策通信社である、同盟通信から配信される。ところがNHKの記者たちは、それに手を加え始める。国民を思想動員するために放送はどうあるべきかという内部の討論も再現されていた。それに通信社の原稿が、赤ペンで訂正されているものも映し出されていた。記者たちの再現座談会では、内地で想像していったのと、戦地ではまた別の体験をしたという。
▼放送の部分では実況放送と称して現地で銃の発射音や爆撃音をわざわざ入れるのだ。聴いている方はそれが分からないから、おそらく「凄い」と思うに違いない。ふと戦争中に流行った佐藤惣之助の「上海だより」という歌の一節を思いだした。
「上陸以来今日までの 鉄の兜の弾の痕 自慢ぢやないが見せたいな」
現実に鉄兜を弾が掠めたらもう即死であるにもかかわらず、こういう戦意高揚の歌を作る。
▼記者たちが圧力を実際圧力をかけられないにもかかわらず、「戦意高揚」の原稿で盛り上げていく。しかし登場したある作家は「転進などといっても子どもたちはみんな、負けたんだと噂していましたよ」という。小学生でも(いや国民学校と言うべきか)知っていることを自主的にねじ曲げて放送した結果が、国民を竹やりでも「勝てる」、バケツでも焼夷弾の空襲を「消せる」と思わせていく。
▼ミッドウェイでは日本の空母は4隻沈没させられ、ほぼ壊滅状態になってしまう。しかし放送は米空母3隻を撃沈し、日本軍の被害は一隻で被害は少ないと、国民を自滅の道に突き進めさせる。WOWOWで13日朝「人間魚雷回天」という55年の番組を放映した。この映画では「成果」を上げている。しかしNHKの戦争特集「回天」では9ヶ月間に148隻出撃した。しかし日米両軍で「的中」が確認されたのは、たった3隻であったという。そうすると彼らの死とは単に「自殺」を強要するための、特攻潜水艦としか言えなくなる。
▼昨日午後7時のNHKニュースはわたしの見ている限り20分間はずっと「宮古島周辺で地震が起き、高さ50cmの津波が来たので注意するように」を繰り返していた。宮古島周辺は衛星放送でないかぎりこれを受信できない筈だ。この壊れたラジオのように繰り返して警報をはっする番組を見ていて、NHKは思考が停止してしまったのではないかと思った。しかし政府統計や政府発表をそのまま流す昨今のNHKを見ていると、戦争中の「反省」はどこへいってしまったのか、心配でならない。
▼靖国神社で田母神発言に抗議したら警察の事情聴取を受けるカナダ人男性。驚くべきことに靖国神社は治外法権だった。

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