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September 29, 2009

◇「空気人形」を見る。

▼仕事が一段落したところで、外科医に行く。待合室で看護師さんがバンドエイドを外してくれた。院長は傷を一瞥して「傷はふさがったからもうきょうで良いですよ」と言ってくれた。しかし実際には傷口が完全にふさがっていないので血が滲む。自宅で医師が使うイソジンを塗って、バンドエイドで留めた。最終回はいつもより20円高く、370円だった。
▼◇「空気人形」人形がもし「心」をもったらどうなるか?というのがテーマである。中央区の古びた町のボロアパートに住む、中年男秀雄。昼間はレストランのウェイターをやっている。しかしオーダーの間違えが多く、シェフからは「いつ辞めてもらっても構わない」といわれ続けている。そんな彼がホッとひと息をつくことが出来るのはボロアパートに帰ってきて、ダッチワイフの彼女に向かって話しかけ、さらに自分を解き放す一瞬である。しかし人形はこの一瞬自分は秀雄の性的要求を発散するだけの対象ではないかと気づく。そして秋葉原のメイド姿で町を探索することになる。
▼そして小さなレンタルビデオショップに紛れ込む。アルバイト店員の純一(ARAT)は「何かお探しですか?」と声を掛けるが彼女は何か良く分からない。そうしているうちに人形は秀雄が留守の昼間だけこの店で働くことになる。客はあれこで映画の断片だけを並べて見たい映画を探すので、レンタルビデオ店の店員さんはあらゆる映画に精通していなければならない。寺島進演じる交番の警察官が来て、「何か凄い悪い警官がでてくる映画はないか」と聞くと、純一は「フェイクやセルピコはどうです」と答える。店長が出ていて、人形と二人になったとき、またクイズをしている。「松田優作が最後に出演したハリウッド映画は?」と質問を出したとき、ふり返った瞬間ハシゴから落ちてしまう。右腕の付け根をL字型に切ってしまい。身体の空気はスウッーと抜けていく。
▼慌てた純一はカウンターにあったセロテープで傷を塞ぐ。そして人形が「見ないで、来ないで」というのを振り切り、「空気の注入口はどこ?」と聞く。するとおへそを指さすので純一は自分の息を吹き込んで、復活させる。人形はは「わたしは実は人形なの」と告白する。すると純一も「実は人形という人は多いんだって」と言うので彼女は純一も人形なのかと勘違いしてしまう。そやがて二人は恋人になり、オートバイであちこちをデートして歩きまわる。ある夜人形が帰宅すると、ベッドに自分より美人で近代的な人形が鎮座している。秀雄は自分に飽きてしまったのだとガッカリして、自分を作ってくれた秋葉原にある人形の会社を訪ねる。人形デザイナーのオダギリジョーは別れるとき「人形として生まれて来て良かった?」とさりげなく声を掛ける。人形はカタコトの日本語で「ヨカッタよ」と答えて去っていく。
▼ウオーターフロントが見える小さな公園には高橋昌也が演じる、酸素吸入をしていまにも死にそうが老人がいつもやってきて河面を眺めている。ため息をつきながらしかし生きてきたことは後悔していないとつぶやく。老人はあるとき人形に「触って欲しい」ところがある、という。彼女は勘違いしてズボンに手を入れようとすると、いや「おでこだ」というので、額に手を当てるととても幸せそうな表情をする。
▼純一の綺麗なアパートで二人で過ごす二人。彼女に「頼みたい事がある」と言うと「わたしはあなたの言う事なら何でも聞くよ」とけなげだ。純一のやりたかった事は、人形の身体から空気を抜いたり入れたりする事だった。純一の恍惚の表情を見て,人形は自分も彼に同じ事をしたら喜ぶだろうと思ってへその空気穴を探す。しかしどう探しても穴は見つからないので台所から刃物をもって来て穴を空けてしまう。彼も自分と同じ人形かと思っていた純一の身体からは血が流れ出るだけだった。この映画からは生きているすべての生物に対する生命のいとおしさが伝わって来る。人間の少女が親やレストランで誕生日を祝ってもらい、ハッピーバースディを歌ってもらう場面では何度も涙が出て止まらなかった。 人形も、もし人間として生まれていたら、あの少女のように誕生日をみんなに祝ってもらっていたに違いなかったのだ。

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