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October 30, 2009

◇「パイレーツ・ロック」を見た。

▼ひと月ほど前に長寿院の篠原住職を取材した事を書いた。そのとき3冊の著書をいただいた事も表紙の写真入りでご紹介した。本は原稿を書くために一度読めば必要でなくなる。その3冊の本をどうするか考えた。少なくともわたしの身の回りに自殺願望者はいない。取材に当たって事前の知識として、篠原さんの著書を図書館で検索したが出て来なかった。それならば図書館に寄付しようと考えた。前に一度新刊同様の本を寄贈しようと窓口で相談したら、「ベストセラーか歴史的な希少価値がある本意外受け付けていない」と言われた。これは正面突破をするのは難しいと思って、時間外返却のポストに「先日朝日に出ていた新刊本で、図書館になかったので購入しました。とても良い本だったので利用して下さい。不要でしたら廃棄してください」と一筆書き添えて入れた。1昨日本の検索をしたらその3冊は登録されていたのでホッとした。多くの人びとに役立ってくれれば、わたしの書棚で死蔵されるよりは遥かに嬉しい。
▼今日で終わってしまう面白そうな映画が見つかったので、夕方日比谷のみゆき座まで行ってきた。都内と千葉など首都圏の映画観ではきょうまで上映している。時間を作ってぜひごらん頂きたい。◇「パイレーツ・ロック」1966年のイギリス。BBCラジオではロックやポピュラー音楽は一日45分以内しか放送出来ないと決められていた。それならば国内ではなく、海外から放送してしまえば良いと考えたのが、この海賊放送である。原題は「ROCK BOAT」である。つまり北海のイギリス領でない、船の上から放送してしまえば良いのだろうと考えたのだ。映画に登場するのはたった1隻の5千トンくらいの放送設備をもった船だが、実際にはかなり多くの海賊放送船が存在した。
▼伝統と由緒のUKにあってクラシック音楽ではなく、ロックなど飛んでもないと考えたのはイギリス政府である。首相(ケネス・プラナー)は部下に放送を禁止させる手段はないか考えるように命じる。しばらくして部下は「すべて合法的で手立ては見つかりません」と返事するが、首相は「合法ならば、彼らを違法にする法律を作るのが政府の役割だ」と部下に命令する。この一つを取っても国家権力というものがどういう物が分かろう。
▼しかし海賊船の放送局にあっては24時間放送でガンガンとロック音楽を流し続けているので、国民の人気の的になり、かつ広告料もちゃんと入ってくる。放送がなぜ人気があるかと言えば、20人ほどのクルーの中にあって個性的なディスクジョッキーがいるからだ。彼らはお互いに技術を競い合って、リスナーの人気を分かち合っている。そんな時アメリカから人気のディスクジョッキー採用されて乗船することになる。ライバルの二人は音楽だけではなく、あるとき肝試しをすることになり、高いマストのどこまで登ることができるか競争する。結局決着は付かずにてっぺんから海中めがけてダイブする。
▼もう一人ストーリーの縦糸に18歳の青年が登場する。彼は母親からこの船に乗るように言われて仲間入りするが、なぜ自分がそうなったのか理解出来ない。その彼も仲間に揉まれ、次第に溶け込んでゆく。ただ一つの悩みは他のクルーと違って女性を知らないことだった。ある時船長の娘という少女が乗船してきて目が星のようになるが、目的は果たせずに終わってしまう。そうこうしているうちに政府は放送が救難無線の妨害をしたから閉鎖させようとする。しかし専門的な事を言えば放送局は202kHzで国際海難無線は500kHzなので無理がある。結局イギリス政府は「海賊放送禁止法案」を閣議で決定する。みんな挙手で「法案賛成」をしているのに、首相だけうつろな目をして議長に「挙手」を促されるシーンは国は違ってもぼんくら首相がいる事を示している。
▼沿岸警備艇に海賊船を急襲させるのだが、定位置には漁船しかいなかった。見事漁船とすり替わっていたのだ。放送が一切禁止になる午前零時放送は途絶えると、国民は歎き悲しむ。が、その一瞬「なーんちゃってね」とイギリス国籍をもたないディスクジョッキーらが「俺はイギリスの法律に妨げられない」と放送を始めたのだ。しかし政府と思われる男達が仕掛けた爆弾が爆発し、海賊船は荒れた北海に沈んでいく。政府関係者も首相を夜中にたたき起こして「救出命令を出してください」というと「助けなどいらん」と言って電話を切ってしまう。そして海賊船は舳先を残してタイタニックのように沈んでいく。ここから先は映画を見ていただきたい。実話を元に創作しているが泣かせる。最後の場面は涙が止まらなかった。今晩で終わるのでぜひ映画館を探してごらん頂きたい。また「海賊対策」と言えば何でも通用すると思っている某国の幹部にも見せたい映画だ。それに挿入曲が場面にピッタリとあっているのも素晴らしく効果的である。

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