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February 19, 2010

習S野演習場を行く(2)

Pac3system
PAC3システム左の筒が「3」で16発入っている。右は旧型で1発。もちろん現時点では模擬弾頭である。
▼昨日の補足。火薬というのはそれ自体では爆発も発火もすることはない。簡単に言えば信管という起爆装置を叩くことによって発火爆発するのだ。戦争映画などを見ているとたとえば「パリは燃えているか?」とか「ワルキューレ」で橋を爆破するときにダイナマイトなどの爆薬を構築物に巻き付けてリード線を使って安全なところに起爆装置を持って来てそれを人間が手動で起動させている。
▼いまは戦争をしている最中ではないので、工兵隊による敵地の建築物あるいは建造物の破壊は必要性はまったくない。となるとこの習志野に持ってくる火薬は花火とは違い、自衛隊側の説明に出て来た「冨士」というキーワードからすると砲弾用の火薬と考えられる。しかし砲弾と言っても常に砲弾として保管してあるわけではない。例えば榴弾砲の場合、目標を爆発させる炸薬と砲弾を推進させる装薬に分けられる。戦闘が始まり、どこをどういう方法で攻撃するかが決まってから、砲弾は組み立てられる。主として何キロ先の目標を攻撃するかで装薬の量が決まってくる。装薬の種類は色々あり、かなり専門的になるので、ここでは省略する。
▼高射群にはナイキハーキュリーズとパック○があった。航空自衛隊側はPAC○は撮影して構わないが、ナイキは撮影しないで欲しいという要望が出された。これは説明はなかったが日米防衛協定によるものであろう。要するにPAC○は見れば分かるがガンダムのようなユニット方式の発射装置である。それに対してナイキJ(ハーキュリーズと同一性能の日本改良型)は発射装置がむき出しになっている兵器なので撮影した写真からその性能が分かってしまうという事なのだろう。しかしわたしに言わせればナイキJは地対空ミサイルで旧ソ連の爆撃機を撃ち落とす為に作られたもので、最早その必要性はまったくない。
▼自衛隊側の説明によると習志野にはランチャーが5台あり、そのうち「3」を搭載できるのは2基だという。「3」は航空自衛隊の呼称でパトリオットではなく「ペトリオット」と呼ばれるとA2佐は説明した。以下2佐の説明は続く。旧型は湾岸戦争当時まで使われただが弾頭は1個しかなかった。だからイラクのスクワッドミサイルは一台で一基しか撃ち落とせなかった。いまはPAC○はそれまでのミサイルに比べて細身で、今までは1発が入っていたミサイル・キャニスタに4発が格納できるようになった。つまりキャニスターはPAC○には4つあるので16発という事になる。
Pac3kakudai
PAC3キャニスター部分を拡大
▼そして弾頭の中にはキャラメル状の爆発物が(以上は2佐の説明、以下専門的になるが弾頭は近接信管だけではなくヒット・トゥ・キル、つまりPAC○ミサイルの飛翔体全体を目標弾道ミサイルに直接衝突させ、その運動エネルギーによって目標を粉砕破壊する方式)入っている。ミサイルは前のものに比べて小型になって飛距離は縮まったが、これで爆発する範囲は広がる。そしてアメリカには2回試験発射訓練に行って成功している。ところがこれはあらかじめ知らされた弾道を通ったので当たっただけの話。当時のTVで拍手喝采する米軍関係者の画像が公開されたが、これも彼らの生き残りのための演出である。
▼2佐の説明によれば例のテポドン騒ぎの時も市ヶ谷に派遣したのは習志野のPAC○であったという。そして発射の運用はすべてリモコン操作になっており、このミサイルの中に人はおらず、指令は無線で行われる。ちなみに市ヶ谷に配置されたときは光ファイバーも使った。
▼今書店にいくと「こんなにスゴイ最強の自衛隊」という本が竹書房という出版社から出されている。その中にミサイル防衛(MD)システムでの迎撃は二段構えとなっている。海上自衛隊のイージス艦搭載の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)が敵ミサイルを大気圏外で撃ち落とし、もし失敗すれば航空自衛隊のPAC○が着弾直前に迎撃する。だからこの二つがあれば「百発百中である」と結論している。しかしPAC○の命中率はある統計によれば1%程度と言われている。しかも敵ミサイルが飛んでくる位置が分かっていればの話だ。敵は相手を欺こうと色々画策する。PAC○のミサイルは16発だけだ。もし敵が17発持っていれば、撃ち終えてしまったPAC○は空のランチャーで黙って見ているしかないということになる。
▼説明が終わって再びマイクロバスで正門に戻る。その途中演習地の道路脇はモグラに掘り起こされた場所が多数あった。陸自のH2佐は「このモグラには困っています。何か良い方法があったら教えていただけませんか」と言う。陸上自衛隊の当面の敵はモグラであるようだ。もしモグラの効果的な撃退法があったら、習志野の自衛隊までご連絡いただきたい。説明を受けているとき、30半ばのスーツ姿の青年が2名ずっと付き添っていた。おそらく防衛省の内局の人なのだろう。自衛隊もまた本社の意向を受けて行動するという点では会社組織とまったく同じなのだなと思った。「○」は「3」と読み替えていただきたい。

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