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March 14, 2010

◇「ハート・ロッカー」これがアカデミー賞?

▼寒いのか暑いのか、どうも分からない。天気予報は気温が上がると言っていたので比較的薄着で「みゆき座」に出掛けた。しかし館内は冷房を効かせていたので、かなり辛かった。
◇「ハート・ロッカー」(この語源はアメリカ軍の隠語で「苦痛の極限地帯」「棺桶」を示す)ご存知の様にこの映画が今年のアカデミー賞を受賞した。あるブログによれば、「ブッシュはイラク戦争で儲けたが、その汚い戦争を映画にしてまた儲ける奴がいる」、と書いていたがそれはこの映画監督のことだ。2004年夏のイラク、バグダッド郊外の出来事。爆弾が発見されたというので、アメリカ軍爆発物処理班ではリモコンのロボットを使って爆発物に接近する。そして信管を外した筈の爆弾が爆発して処理班の班長は死亡する。爆弾とは見ていると現実にもそうなのだが、アメリカが使っている榴弾の不発弾を束ねて起爆装置につなげている。それを時限装置か携帯に連動させた起爆スイッチにつなげている。班長は携帯の起爆装置を使われた。班長亡き後ブラボー中隊のリーダーに就任したのはウィリアム・ジェームズ二等軍曹である。
▼普通爆発物の処理をするときは潜水服のように重い防護服とヘルメットを着用する。ところがジェームスは防護服は重すぎる、死ぬときはさっさと死にたいとスーツを脱ぎ捨てて爆弾に近づく。爆弾が発見されると住民や国連の職員を退避させ、死ぬ恐怖などないかのようにジェームズが爆発物処理する様子を見ている同僚のサンボーン軍曹は気が気ではない。だが巧に隠された起爆装置をジェームスは見つける。爆発物が処理されるたびに帰国までの日数が表示されていく。ある時は砂漠で故障している4WDに近づくと全員アラブゲリラ風の覆面をしている。武装解除して調べるとそれは味方の特殊部隊で捕虜を2名連行しようとしている最中だった。
▼だが故障した車を修理している最中に狙撃される。米軍はバーレットM82A1アンチ・マテリアルライフルで反撃するが味方も次々失っていく。弾も尽き、狙撃手も弾着監視員も体力の限界の日が沈むまで粘る。そしてある日の出撃でジェームスはいつもDVDを売りに来ている少年の姿が見えず、死体を使った人間爆弾になっていることに気づく。少年が殺された後に来ているあの大人の売人が怪しいと後をつけるが、行き着いた先は大学教授の家で家族に大騒ぎされて退散する。
▼ここに書いたのはストーリーのごく一部であるが、まずアメリカがなぜイラクにいるのかというその正当性の説明がない。イラクの人々がなぜ爆弾を使って抵抗するのかも説明がない。つまり「ハート・ロッカー」は単なる爆弾処理映画の一つ、「ジャガーノウト」よりもお粗末である。「イラク人=敵=悪」という単純な図式で彼らはギャングかインディアンの様なもので、正義のアメリカ軍が命を賭してそれを正してやるということなのである。それは最後の爆発物処理の場面で、イラクがいかに非人間的なのか如実に描かれている。いわばアメリカの国策にあった内容だったから、アカデミー賞を受賞したのである。

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