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March 15, 2010

◇「インビクタス/負けざる者たち」を見る

▼昨日昼間のアクセス数は伸びなかったが夜10時をすぎて普通になった。昨日も近くの映画館徒歩で向かった。しかし見たい映画は朝と次回昼の部が満員で入る事ができず、仕方なく有楽町まで向かった。以下にご紹介するのは別の日に見た映画である。
◇「インビクタス/負けざる者たち」映画はネルソン・マンデラが20年前に釈放される実際の映像と主演のモーガン・フリーマンが演じている映像をたくみに合成して、放映される。おりから地元のラクビー場ではプロの選手たちが一生懸命練習に励んでいるが、その道の反対側では貧しい少年たちが広場で、かなりくたびれたボールで練習している。そこにマンデラの乗った車が通りすぎ、少年たちは喚声を上げる。一方、プロの選手たちは自分たちの選手運命はどうなってしまうのだろうと、苦々しく見つめている。
▼さて大統領官邸、マンデラは朝早く散歩をすることから始まる。護衛官たちはしかたなく彼に伴走する。ある朝トラックはマンデラの脇を猛スピードで走っていくので、護衛官たちは拳銃に手をやって一瞬緊張する。おっこれでいつものイーストウッドの映画の様に打ち合いが始まるのかと期待したが、それは単なる新聞配送の車だった。
▼新任の黒人護衛官たちが控え室で打合せをしている。そこに3人の白人護衛官が入ってくるのでムッとする。「あいつらは公安だった連中だよ。信頼できるのか?」と不信感を隠せない。マンデラは疲弊した南アフリカ連邦共和国をどうやって建て直すか腐心している。護衛官の申し出に「黄金の煉瓦も黒い煉瓦も国を作るときには両方必要なんだ」と、まるで鄧小平と同じ「黒猫でも白猫でも鼠をとる猫は良い猫である」というのとまったく同じキャッチフレーズを言うのには笑わせる。黒人護衛官はしぶしぶそれを納得する。
▼マンデラは国を一つにするにはどうするかという考え、それはにラグビーのワールドカップが開かれるので、そこで我が国のチームを優勝させることだと考える。つまりこのイーストウッドの映画は、あと60日後に開かれるサッカーのワールドカップを当て込んでいるのである。ラグビーのワールドカップも実際に南アフリカで実際にあった事である。だがしかし南アフリカ共和国のラグビーのチームはとても弱い。キャプテンのマット・デイモンは詰めの甘さで苦しんでいる。マンデラは彼を励まそうとまず大統領官邸にキャプテンを招き、次に練習場へ乗り込む。このとき前もって選手の名前を秘書に命じてリストを作って暗記をしていくのである。これはかつて田中角栄がそうであったように、どこの国の政治家も同じ手法を使う。大統領に名前を呼ばれて感激しない選手はいない。
▼それ以降嫌っていた国歌も自然と選手の口から出てくる。そして地区予選の前夜キャプテンの美しい妻は合宿所を訪ねてくる。曰く「キャプテンの特権を知っている?相部屋ではなく、一人部屋にいられることよ」と首に抱きつく。キャプテンは「いやダメだ明日は戦闘的に戦わなくてはならない」とそれをはね除けるのは、映画ならではのお笑い。地区予選で勝って決勝進出が決まった夜、大酒を飲んで祝うのだが、キャプテンは「明日は朝6時から練習だ。忘れるな」とクギを刺す。そして朝練が終わった後、選手たちはマンデラが27年間幽閉されていた監獄がある島へと船は向かう。
▼最後はどうなったか?それはネットで現実の当時のラグビーのワールドカップを見ていただきたい。映画としてはマンデラは国を一つにまとめるために試合を最大限に利用したやり手だったという事が分かる。そして昨年公開された「マンデラの名もない看守」に比べると、政治性は極めて希薄な娯楽映画である。

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