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March 08, 2010

◇「おとうと」を見た

▼先日日本映画のアカデミー賞に「沈まぬ太陽」が入賞した。わたしはそもそもアカデミー賞というのはまったくアテにしていない。アメリカのそれもハリウッドという一地域の評価であり、それはハリウッドのユダヤ資本の思惑で動く。だから1年前の優勝作品や2年前の作品は何だったのか思い出すこともできない。入賞する事時代映画メジャーの思い通りになっている。それが不景気な日本の映画産業を何とか盛り上げようという事と結びついてしまう。新聞や雑誌の映画評論家と映画業界の金銭の授受をめぐる噂が絶えないのも、評論の善し悪しが動員に繋がる事を如実に示している。
▼日本アカデミー賞となるとマニア向けの訳の分からない作品が受賞する事が多かった。所が今年の最優秀賞は「沈まぬ太陽」である。主演の渡辺謙が「完成にこぎ着けるまでが大変だった」とNHKのニュースで語っていた。ご存知のようにこの映画のモデルとなっている国民航空とはJALの事である。何度もJALから「訴える」と脅されながら完成した。もしJALが今日の落日を迎えていなければ、横やりで完成する事ができなかったかも知れない。
▼昨日上映時間が急にずれてしまう手違いで、◇「おとうと」を見た。最初の10分ほどを見ればラストシーンは分かる。監督は山田洋次だからあの「寅さんシリーズ」の集大成とも言える。姪の結婚式に来た男が飲んで結婚式をメチャメチャにしてしまう、というのはシリーズで都蝶々が出たものとそっくりである。あとは山田お得意の落語の話の様な、姪の名付け親になった経緯、「小春」は坂田三吉の妻から出たとかがある。
▼しかし主演の吉永小百合はどうしてこんなに下手なのだろう。セリフもさることながら、呼吸とか間合いの取り方がまったくなっていない。娘の小春を演じた蒼井優の方がはるかに上手だ。吉永は「大人の休日」とか「シャープ」等CMに沢山出演しているので、稼ぎは沢山あるはずだ。その一部でも演技を学ぶ事に投資すれば、もっと見られる役者になる筈だ。現在64歳くらいなので、後20年くらいは活躍できる筈なので、演技の基礎から学んで欲しいと心の底から思った。
▼演技のうまかったのは弟の借金130万円を吉永の所に取りに来た、もと愛人役をした女優。本当なら「弟とは縁を切っているので借金は払えません」と言えばそれはそれで通用する。しかし吉永は郵貯銀行に行って店の改装のために貯めておいたカネで払ってやる。元愛人が吉永の家を辞去するとき、ストッキングの踵に穴が開いている演出は、とてもうまいと思った。いずれにしても孤独死ではなく、大阪の通天閣が見えるNPOのホスピスでみんなに見守られて息を引き取る「おとうと」は、幸せな人生だっただろう。映画としては普通のレベルで、時間があったら見に行けば良いと思う。

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